Sunday, October 27, 2019

精神分析の今を知るために(10)

フロイトはある女性の夢に見事な解釈をほどこしている。彼女はある夢をフロイトにむかって語ることをいやがった。その夢はあまりも曖昧模糊としているから、というのがその理由だった。後になって彼女は多くの男性と性的交渉を持っていることがわかった。その事実から夢の内容が判明した。つまり彼女は多数の男性と交わった結果、誰の子をはらんだのかわからないというものである。フロイトの解釈の見事なのは、夢の形式、すなわち曖昧模糊としているということが、抑圧された内容を直接的に夢に刻みこんでいると考えるところだ。女性は自分の問題(誰が子供の父親なのか)に向き合おうとしない。夢の中ですらそれができない。しかし内容から排除された要素は形式となって回帰する。

Slavoj Zizek - Form And Content In The Arts から

ピエール・デュピュイ「自由主義秩序の自己解体」

これはネット上でたまたま見つけた論文の感想である。 作者のピエール・デュピュイはわたしの知るかぎり、ルネ・ジラールの思想を発展的に継承している面白い学者である。この論文は短いもので、彼が以前書いた論文の焼き直し的なところがあるが、それでもいくつか注目すべきアイデアを含んでいる。 ...