Friday, October 25, 2019

エミリオ・ルッス「戦場の年」

第一次世界大戦を描いた小説や回想録を手当たりしだいに読んでいるが、これはちょっと記憶に残る作品である。将校や将軍のでたらめな指示によって無駄に失われる兵士の生命。人望のない上官に対する兵士の不満。過酷な塹壕戦が展開されるなか、兵士のあいだに広がる厭戦気分、そして反乱。良識を失った将校による、軍規を無視した処罰。それを食い止めようとしてその将校を射殺しようとするべつの将校。さまざまなエピソードが詰まっていて、その一つ一つがすばらしくドラマチックだ。しかもそのドラマは、淡々と語られているが故に、いっそう印象に残る。

この翻訳書の後書きによると、こうしたエピソードはほとんど事実に基づいていることが調査で確認されているという。戦争の現実がどのようなものであったのか、それを知りたいならまず第一に読むべき本だろう。翻訳も堅苦しいけど、悪くはない。

ピエール・デュピュイ「自由主義秩序の自己解体」

これはネット上でたまたま見つけた論文の感想である。 作者のピエール・デュピュイはわたしの知るかぎり、ルネ・ジラールの思想を発展的に継承している面白い学者である。この論文は短いもので、彼が以前書いた論文の焼き直し的なところがあるが、それでもいくつか注目すべきアイデアを含んでいる。 ...