今朝、プロジェクト・グーテンバーグのサイトを見たら、トマス・ボイドの「麦畑を抜けて」(Through the Wheat)が電子書籍化されていた。これは戦争文学の、あまり知られざる傑作である。
今年からアメリカでは1923年出版の書籍がパブリックドメイン入りしたので、それを受けて今回の登場となった。ひたすらすばらしいとしかいいようがない。プロジェクト・グーテンバーグはもっとこの本の登場を宣伝するべきだろう。
ドイツ軍のフランス侵攻を食い止めるため、アメリカ海軍の小隊がフランスの友軍としてかけつける。物語はその中の小銃兵の眼で語られるのだが、これがまことに悲惨。戦争とはこういうものかと、いやというほど知らされる。
わたしは今、戦争文学を手当たり次第読んでいるが、よい機会だから、この本も再読しようと思う。
Saturday, February 2, 2019
電子化された注目の二作
ウィキソースにルイ・レヴィの Menneskeløget Kzradock 「タマネギ人間クスラドック」のコピーがアップロードされているのを見て驚いた。これはデンマークの作家レヴィが書いたサイケデリックな幻想小説で、ヴァルター・ベンヤミンやゲルショム・ショーレムがドイツ語訳を...

-
久しぶりにプロレスの話を書く。 四月二十八日に行われたチャンピオン・カーニバルで大谷選手がケガをした。肩の骨の骨折と聞いている。ビデオを見る限り、大谷選手がリングのエプロンからリング下の相手に一廻転して体当たりをくわせようとしたようである。そのときの落ち方が悪く、堅い床に肩をぶつ...
-
今朝、プロジェクト・グーテンバーグのサイトを見たら、トマス・ボイドの「麦畑を抜けて」(Through the Wheat)が電子書籍化されていた。これは戦争文学の、あまり知られざる傑作である。 今年からアメリカでは1923年出版の書籍がパブリックドメイン入りしたので、それを受けて...
-
「ミセス・バルフェイムは殺人の決心をした」という一文で本作ははじまる。 ミセス・バルフェイムは当時で云う「新しい女」の一人である。家に閉じこもる古いタイプの女性ではなく、男性顔負けの知的な会話もすれば、地域の社交をリードしもする。 彼女の良人デイブは考え方がやや古い政治家...