今朝、プロジェクト・グーテンバーグのサイトを見たら、トマス・ボイドの「麦畑を抜けて」(Through the Wheat)が電子書籍化されていた。これは戦争文学の、あまり知られざる傑作である。
今年からアメリカでは1923年出版の書籍がパブリックドメイン入りしたので、それを受けて今回の登場となった。ひたすらすばらしいとしかいいようがない。プロジェクト・グーテンバーグはもっとこの本の登場を宣伝するべきだろう。
ドイツ軍のフランス侵攻を食い止めるため、アメリカ海軍の小隊がフランスの友軍としてかけつける。物語はその中の小銃兵の眼で語られるのだが、これがまことに悲惨。戦争とはこういうものかと、いやというほど知らされる。
わたしは今、戦争文学を手当たり次第読んでいるが、よい機会だから、この本も再読しようと思う。
Saturday, February 2, 2019
英語読解のヒント(185)
185. be it so / so be it 基本表現と解説 Be it so. So be it. いずれも Let it be so. 「それならそれでいい」、「そういうことにしよう」という承認、あるいはあきらめをあらわす表現。また「そうあれかし」という祈願の...
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