§19. Der Kapitän wollte das Schiff nicht verlassen und ging mit demselben unter.
船長は船を去ることを欲せず、船と共に沈んだ。
上文のような場合に、mit ihm (それと共に)といってもいいところを、多少改まった調子で固苦しく言おうとすると、例の derselbe (同者、該者)を使います。これは別に「同じもの」とか違ったものとかいったような程の意味はなんにもないので、たとえば警察署の書類に「よって同女を連行して取調べたるところ」などとある同女や、同人と同じわけです。
同女といえば面白い話があります。例の Heine の詩の Lorelei ですが、あるお役人があのお話をして聞かせるのに、Auf dem Fels saß Lorelei mit ihrem goldenen Haar und goldenem Kamm (岩の上には金髪の、金の櫛をさしたローレライが腰をおろしていた)まではよかったが、その次に und dieselbe kämmte dasselbe mit demselben (そして同女は該者を上記の物をもって櫛けずった)といったというお笑話ですが、なるほどドイツ語では、Lorelei は女性、櫛は男性、髪は中性と、それぞれ性が違っているから、該者を該者でもって櫛けずっても差し支えないわけですが、話がなにしろロマンティックな話だから、ひどく幻滅なところがご愛嬌です。
→ selbig, derselbig. 古い形で今はもう多少おかしくなっています。