Friday, March 22, 2019

ドイツ語の教科書

今、わたしはこのブログで古い語学書を電子化しているけれども、英語の教科書の名作というものがあるだろうか。これは難問だ。正直、すばらしいと賞賛できる作品は思いつかない。日本人によって書かれたもの、日本以外の国で書かれたもの、わたしはかなりの数の教科書を読んでいるはずだが、自信を持って人に推薦できるような本には出会っていないようだ。

ところがドイツ語の教科書ならある。それも二冊もある。一冊は Graded German Reader -- Erste Stufe である。これはかなり有名な教科書で、今でも人気がある。ドイツ語を読みたいと考えている人は必読だろう。一ページ目から順々に読んでいけば、確実に読解力がついていく。奇跡的といってもいいくらい見事に読み物、練習問題が配列されていて、無理なく知識を蓄えていくことができるのだ。

もう一冊は Foundation Course in German というタイトルで、これはあまり知られていないかもしれない。Conrad P. Homberger という人が書いたもので、普通のドイツ語の初級教科書なのだが、発音や文法の説明は短く的確で、練習問題もよく考えられてつくられている。おそらく作者はドイツ語の教師なのだろう、しかも教え方に工夫を凝らすタイプの教師なのだ。彼の永年の経験のエッセンスがこの教科書に詰まっているのではないか。

欧米におけるドイツ語の教授法は日本のそれとは違っているので、ちょっと目には戸惑う人もいるかもしれないが、ドイツ語のリフレッシャー・コースを探しているなら上の二冊はおすすめである。

関口存男「新ドイツ語大講座 下」(4)

§4.  Solch ein kleines Kind weiß von gar nichts. そんな 小さな子供は何も知らない。  一般的に「さような」という際には solch- を用います(英語の such )が、その用法には二三の場合が区別されます。まず題文...