Friday, December 25, 2020

ジョン・ラッセル・ファーン「ブラック・マリア」(1949)

ファーンがはじめて書いたミステリ小説。彼のSFはパルプらしい、かなりはちゃめちゃな書き方になっているが、この小説は意外なくらい本格的である。主人公「ブラック・マリア」の人物像も見事に造形されていて感心させられたし、最後の推理もひねりがきいていてなかなかのものだ。悪くない。これならほかのミステリも読んでみようかという気になる。

主人公はマリア・ブラックという女子大学の学長である。規律に厳しく学生達に恐れられているが、犯罪学が趣味で、探偵的才能を持っている。彼女は名前をひっくり返してブラック・マリアと呼ばれている。これは霊柩車とか囚人護送車という意味である。マリア・ブラックなんて名前だったら、こんな綽名がついても仕方がない。

物語は彼女がイギリスからアメリカへ渡る場面からはじまる。アメリカでビジネスをしていた兄が自殺したためだ。ところが遺書を預かっていた弁護士から彼女は驚くべき話を聞かされる。彼女の兄は、もしも自分が不審な死をとげたなら、妹のマリアを呼んで犯人を捕まえさせてくれと弁護士に秘密の手紙を渡していたのだ。弁護士によるとマリアの兄は自殺をするような男ではなかった。今回の事件はどうも怪しいというわけだ。もちろん犯罪が趣味のマリアは捜査を引き受ける。しかし彼女の兄は完璧な密室の中で死んだのである。だから警察も自殺と断定したのだ。はたしてマリアはこの密室殺人の謎を解くことができるのか、否か。

密室での殺人を可能にしたトリックが現実に使えるものかどうかはわからないが、それはマリアの捜査のはじめのほうであきらかにされるので、あとは誰がそのような仕掛けをほどこしたのかという点が問題となる。それができた人間となるとまずは兄の家族が疑われねばならないだろう。マリアは断固たる態度で甥や姪の行動を探り出す。しかもギャングたちを手なずけ手下として使うのである。厳格な教師でありつつ暗黒社会の人々をすらコントロールするマリアは、行動力と胆力、そして威厳にあふれた、じつに魅力的な主人公となっている。

マリアが活躍する作品はほかにもあるようなのでぜひ探し出して読みたい。

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