Friday, May 7, 2021

大谷選手のケガ

久しぶりにプロレスの話を書く。

四月二十八日に行われたチャンピオン・カーニバルで大谷選手がケガをした。肩の骨の骨折と聞いている。ビデオを見る限り、大谷選手がリングのエプロンからリング下の相手に一廻転して体当たりをくわせようとしたようである。そのときの落ち方が悪く、堅い床に肩をぶつけたのだろう。

リング内に戻った大谷選手はもう右腕が動かない状態、いや、激痛にうずくまっている状態だった。レフェリーは「ギブアップするなら(試合を)止めてやるよ」と信じられないようなものいいで負けをすすめるのだが、大谷は結局、スリーパーを決められるまで試合をした。

選手がケガをし、明らかに異常な状態と認められたら、レフェリーなりドクターはすぐさま試合を止めなければならない。選手が闘う意志を示したとしても、あるいは、後の検査で異状がなかったとしてもそれが選手を守るためのルールなのだと選手は納得しなければならない。異常な状態の相手に勝ったところで、その勝利にはなんの意味もない。ただ嫌な気分が残るだけだろう。見る側もむかむかするだけだ。

全日本プロレスはこの点についてレフェリーの判断に任せるのではなく、明確な安全重視のルールを作らなければならない。さもなければ「明るく楽しい」というこの団体のモットーが泣く。

エドワード・アタイヤ「残酷な火」

  エドワード・アタイヤ(1903-1964)はレバノンに生まれ、オクスフォード大学に学び、スコットランド人の女性と結婚した作家である。自伝や「アラブ人」という評論が有名だが、ミステリも何冊か書いている。ウィキペディアの書誌を見る限り「残酷な火」(61)は彼が書いた最後のミステリ...