今年の全日本のチャンピオン・カーニバルはひと味ちがった。外国人選手が呼べない情況のため、国際的な華やかさはないけれど、選手の気魄がまざまざと伝わってくるすごい試合ばかりだった。大谷選手がケガをしたのも気合が乗りすぎていたためだったのだろう。早い回復を切に祈る。
わたしが今年いちばん注目したのは土肥こうじ選手。カーニバルは初参戦で、一勝しかできなかったが誰とあたってもあとに引かない面白い勝負をした。対石川戦では二メートル近い相手をかついでアルゼンチン・バックブリーカーに持って行ったが、あれは圧巻だった。全日本のヘビーに力で負けていないのは見事。以前、鷹木選手が全日に参戦してくれたときも新鮮な風を吹き込んでくれたが、あれとはまたひと味ちがう新鮮さを運んできてくれた。今後の活躍を期待する。
優勝したのはジェイク。彼は去年、もう一つのところで結果が残せなかった。それを反省して彼は変わろうと努力している。その努力が大きな大会で実ったのは喜ばしい。やはりジェイクが前面に出てこなければ全日本は面白くないのだ。これで諏訪魔、石川といったベテラン勢、そしてジェイク、宮原といった若手が頂点を争うようになるだろう。トップを争える選手層がちょっとだけ厚くなった。
この大会を見て青柳優馬も順調に実力を伸ばしていることがわかった。ただしまだ凄みがない。自分でも格下を認めるような発言をしているが、それは若さへの甘えだと思う。ジェイクはその点、年上だし、あせりがあった。それが彼を変えさせたのである。青柳がいつ覚醒するのか、楽しみだ。