Saturday, September 17, 2022

スーザン・グラスペル「瑣末なもの」

Sgc1894

これは傑作、名作といっていい。白黒映画のようなしぶい作品だが、内容の重さは圧倒的で、そのすごさに読後、しばし茫然とした。1916年の作品だが、今の人が読んでも感銘を受けるだろう。

まわりには畑しかない寂しい場所に立つ農夫の家で殺人事件が起きた。夫婦者が人との交際もほとんどなくそこに暮らしていたのだが、あるとき夫が首をくくられて死んでいたのだ。妻の話によると一緒に寝ていたとき、何者かが侵入してきて、自分が気づかぬうちに夫を絞殺したのだと言う。この芝居は現場検証にきた弁護士と保安官、そして牢屋に入れられた妻のための衣服類を取りに来た二人の夫人によって演じられる。

男二人が家の内外を証拠を求めてうろついているあいだに、女二人は台所を見たり作りかけのキルトを手に取ったりする。そして男二人は証拠をまったく捜し出せないのに、女二人は女性的、かつ家庭的な品々のなかに事件の真相を示すものを見つけるのである。それは男あるいは法の目から見れば「瑣末なもの」なのだろうが、しかし女の目から見れば、雄弁に夫婦の関係がいかなるものであったのかを語り、なぜ妻が夫を殺害したのかを説明するものだった。しかし女二人はその「証拠」を男たちから隠してしまう。

これは本当に驚くべき作品で、夫婦者は劇中に姿を現さないのに、二人の姿が彷彿と浮かんでくるのである。たった一幕の芝居なのに、とりわけ妻の人生の変化、苦悩、絶望が痛いほど伝わってくる。こんなに強烈なフェミニズム文学に出会ったのはシャーロット・ギルマンの「黄色い壁紙」を読んで以来である。

独逸語大講座(20)

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