Monday, October 17, 2022

ジョン・ラッセル・ファーン「気象企業」

最近はSFでも気象変動を取り扱うのがはやっているが、その中でもファーンの「気象企業」はかなり初期の作品と言えるのでないか。パルプだから内容はかなり雑だし、いまのような深刻な気象問題とは別次元の軽い作品ではあるけれど。

家族はあるがまだ若いとある気象官の男が、半径一マイル程度の狭い地域なら気象を自由にコントロールできる装置をつくりあげる。彼はそれを大企業に売り込むのだが、不幸なことにそれを「買った」社長は汚いことを平気でやる男だった。社長は発明の内容をすべて入手したうえで、発明者もその妻も殺害してしまう。

社長がねらっているのは全世界の気象を管理下に治めること。それは全世界を支配することに等しい。会社の管理下にある地域や国は、理想的な天候状態を維持できるが、もしも会社の管理下から抜け出したりしたなら、どんな悪天候になり、人的・物的被害を被るかわからない。しかし管理されているあいだは会社に莫大な管理費を支払うことになるのだ。

それだけではない。会社に不都合な人物が住む地域に人為的な暴風・雷雨・洪水を引きおこし、殺人を犯すことも可能なのだ。こうして絶対的な権力を握った会社は実質上、世界の独裁者となる。殺された気象官の息子が成人し、両親の仇を討ち、会社の独裁体制を転覆しようと企てるまでは……。

この小説は意外と面白くて、楽しみながら読めた。現在の巨大企業のあり方、その活動に対するさまざまな懸念などを思い合わせながら読んでいくと、この作品はパルプでありながらも結構本質的な問題を取り扱っていて、感心させられた。所詮は漫画のような物語、ということもできるが、漫画でもこのくらいのレベルになれば楽しめるというものだ。全世界の気象コントロールが完璧には行われず、いわば望ましくない剰余の気象エネルギーが安全弁と称される地域に放出されるという設定もいい。裕福な国家の気象が優先され、そうでない国々が「非生産的な」国家と見なされ犠牲にされる様子など、まさに現在の世界を思い起こさせる。

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