Friday, March 20, 2026

今月の注目作

The Complete Plays of Gilbert and Sullivan by Arthur Sullivan and W. S. Gilbert

Project Gutenberg


ギルバートとサリヴァンのオペレッタはいずれも掛け値無しの喜劇の傑作で、音楽ファンでなくても一度は目を通しておくべきだろう。イギリス流の言葉遊びと諧謔の文化が爛漫と咲き誇っている。「ミカド」のような高名な作品は当然だが、それほど有名でない作品も水準以上の面白さだ。ギルバートは劇のほかにも詩や短編小説を書いている。しかしサリヴァンとのコンビを解消してからは力がやや落ちているような印象がある。


The monk and the hangman's daughter by Danziger, Bierce

Project Gutenberg


ビアスにあまり関心がないわたしは、彼がエイドルフ・ダンツィガー・ドゥ・カストロなどという人とこんな小説を書いていたとは知らなかった。要約を見ると、若い修道院僧が死刑執行人の娘を見て恋に陥るが、なにしろ不浄な職業についている親の娘だから社会的には除け者扱いされる存在である。個人的な感情と社会的な掟のあいだで修道院僧が苦しむという話らしい。短いので折を見て読んでみたい。


Tales Grotesque and Curious

Project Gutenberg


グレン・ショーという人が訳し、北星堂から出版された本の電子化。出版年は1930年だ。「鼻」とか「羅生門」とか「蜘蛛の糸」といった代表作11編が収められている。いま読むとちょっと堅苦しい訳文になっている。いかにも二十世紀前半の文章だなということは、たとえば「羅生門」の一節 He sneezed a great sneeze and then got up laboriously. Night-chilled Kyōto was cold enough to suggest the comfort of a fire. を見てもなんとなく感じ取れるだろう。原文と突き合わせてはいないが、かなり几帳面に日本語を英語に移植しようとした形跡はある。


Jean-Christophe by Romain Rolland

FadePage


FadePage は最近精力的にロマン・ロランの名作をデジタル化している。英語版は第十巻「新しい夜明け」まで出ているが、フランス語版はまだ三巻目である。FadePage はカナダの団体なので英語とフランス語の本を専門に電子化している。誰でも知っているだろうがノーベル賞を受賞したこの大河小説はベートーベンをモデルにしている。わたしは中学生の頃この本を読んだが、理想主義に燃えていたせいか、心にしっくりくる小説だった。

今月の注目作

The Complete Plays of Gilbert and Sullivan by Arthur Sullivan and W. S. Gilbert Project Gutenberg ギルバートとサリヴァンのオペレッタはいずれも掛け値無しの喜劇の傑作で、音楽ファンでな...