AI が人間には見つけられないようなブラウザーの欠陥を見つけたとか、プログラミング能力がすごいとか、ずいぶんもてはやされているけれど、言語能力に関してはどうだろう。わたしはたいしたことはないと思っている。最近たまたまつぎのような文をAIに解釈させた。
John Bull, good patriot as he is, prefers a British article to any other.
「ジョン・ブル」は英国人のことである。good patriot as he is は二重に解釈しうる。つまり「よき愛国者だが」とも読めるし、「よき愛国者なので」とも読める。いずれで解釈すべきかは文全体から判断しなければならない。述部の prefers a British article to any other は「英国の製品をほかの(他国の)製品より好む」となる。この述部から判断すれば、good patriot as he is は「よき愛国者なので(国産品を好む)」となることがわかるだろう。ところがAIはこの一節を though he is a good patriot と解釈したのである!
もしかするとAIはこの手の曖昧さを伴う文章が読めないのではないかと思い、こんな文章も解釈させてみた。(やりとりは英語で行われた。日本語はいっさい使っていない)
Surrounded as I was on all sides, I could make no resistance.
Surrounded as I was on all side は「周囲をぐるりと包囲されていたので」とも読めるし「周囲をぐるりと包囲されていたが」とも読める。いずれの意味になるかは残りの部分を読んでからでないと決定できない。I could make no resistance は「抵抗できなかった」。当然前半部分の意味は「包囲されていたので」となる。ところがAIは前半の分詞構文をまたもや although I was surrounded on all sides と解釈したのである。名前はあげないがわたしはこれを二つのAIでためしてみた。するとどちらもおなじ間違いを犯したのだ。AIの英語の能力は他の言語の能力より高いはずなのだが、こんな基本的なミスを犯すのか、とわたしはあっけにとられた。
AIの翻訳の実力はまだ低い。しかしこの調査というか実験をしているあいだに、ふと思いついたことがある。まず一定の長さの英文を一つのAIに翻訳させる。つぎにその原文と翻訳を見せて、間違いがあれば直せ、と指示する。これを繰り返すと間違いは訂正されるだろうか。訳文は洗練されるだろうか。いつかやってみたいと思う。
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