The Bracknels by Forrest Reid
Project Gutenberg
フォレスト・リードはアイルランドの作家・批評家で、生前はヒュー・ウォルポールやJ.M.バリーと並び称せられる存在だった。「ブラックネル家」は少年という主題やオカルト趣味など、リードの特徴がフルに発揮されている。彼は後年、本書を書き直して「デニス・ブラックネル」として出版している。こちらはわたしは読んでいないので、比較できないのが残念だが、文学的でじわじわと迫ってくる怪奇が好きな人にはおすすめの一冊である。
Because of the Lockwoods by Dorothy Whipple
Fadepage
ドロシー・ホィップルの作品は日本語に訳されてはいないけれども、ジェイン・オースティンの伝統を引き継ぐ、英国では今でも人気の作家である。本書は裕福な家族と没落した家族の交流を通して社会のありようを洞察した本で、ホィップルの作品はどれも水準以上の出来だが、本書はとくに興味深く読めた。
Wired Love by Ella Cheever Thayer
Project Gutenberg
グーテンバーグからこの小説の電子版が最初に出たのは2008年。今回出たのはそのアップデート版。電信局に務める若い女性が、モールス信号による謎のメッセージを受け、次第にその発信者との関係を深くしていく。書かれたのは1879年だが、今でも人気のある作品だ。インターネットのチャットを通じて異性と長距離恋愛に陥るのとまったく変わらない話で、感情移入がしやすいだろう。
Martin Birck’s Youth by Hjalmar Söderberg
Standard Ebooks
ヤルマール・セーデルベリィ(1869-1941)はスエーデンの作家で、Doktor Glas という小説で世界的に知られる。ストリンドベルクに並ぶ巨匠である。本書は主人公の幼少期から大人になるまでを描いたビルドゥングスロマン。非常に内省的で、孤独と憂愁にあふれており、個人と社会について考えたい人にはうってつけの本だろう。平明でありながら知的な訳文がすばらしい。