筋トレをはじめたのは十年くらい前(五十歳ころ)だ。胆嚢に石ができ、切除したのがきっかけだった。お医者さんが優秀だったため、術後の回復は快調で、すぐに元通りの生活ができるようになった。しかしあるときふと気がついた。買い物袋を右手で持つと、身体がやや外側にたわむのである。左手で持つときは体側はまっすぐなのに。
おそらく胆嚢がなくなった分だけ右の体側は折れやすくなっていたのだろう。わたしはぎょっとした。そして欠損を補うために、筋肉をつけようと思った。
筋トレといっても、わたしがしているのはいわゆるホーム・ワークアウト。ジムには行かない。使う器具はヨガマットと辞書だけ。辞書はダンベルがわりにしている。ついでにいうと辞書を使うと腕だけでなく握力も鍛えられる。
身体を大きくすることは目的でなかったが、筋トレを十年も続けるとさすがに腕の太さや胸の厚みが増す。腹回りもしぼれたし、健康状態はすこぶるいい。なによりうれしいのは尿検査をいつやっても正常と出るようになった。それまでは血尿やタンパクが出ていたのに。
わたしがやっている翻訳という作業は、へたをすると一日中、パソコンの前に座っていることを強いられるが、筋トレはいい気分転換になる。
Sunday, July 29, 2018
マリ・ドルトン「跪く女の謎」
マリ・ドルトン(Moray Dalton)は1881年にロンドンに生まれ、スコットランドヤードのヒュー・コリアー警部を主人公にしたミステリを三十冊近く書いた。近年 Dean Street Press が彼女の作品を電子化して出しており、わたしもはじめて彼女の本を手にした。1936...
-
ウィリアム・スローン(William Sloane)は1906年に生まれ、74年に亡くなるまで編集者として活躍したが、実は30年代に二冊だけ小説も書いている。これが非常に出来のよい作品で、なぜ日本語の訳が出ていないのか、不思議なくらいである。 一冊は37年に出た「夜を歩いて」...
-
§9. 不定の意を強める irgend 「何か」(etwas, was)といえばよいところを、特に念を入れて「何でもよいからとにかく何か」といいたい時には irgend etwas, irgend was といいます。その他不定詞(ein, jemand,...
-
「ミセス・バルフェイムは殺人の決心をした」という一文で本作ははじまる。 ミセス・バルフェイムは当時で云う「新しい女」の一人である。家に閉じこもる古いタイプの女性ではなく、男性顔負けの知的な会話もすれば、地域の社交をリードしもする。 彼女の良人デイブは考え方がやや古い政治家...