プロレスではタイトル戦の前に選手たちが記者会見を開き、意気込みのほどを語るのが慣行となっている。
もちろん真面目にしゃべる人もいるし、対戦相手に遺恨があって不穏な雰囲気を漂わせる人もいる。また、試合では真剣に戦うが、こういう場では面白いことを言って笑わせる人もいる。
八月二十六日に行われた全日本プロレス・アジアタッグ選手権の会見は面白かった。チャンピオン野村・青柳組に、大森・木高組が挑戦する試合である。大森は気心の知れた木高とのタッグということで、口も軽かった。木高も適宜合いの手、というか、突っ込みを入れて好調だった。
しかしわたしが感心したのはチャンピオンチームの反応である。青柳は絶好調であることを訴え、今は何も怖いものがない、No Fear であると大森をむこうに言い放った。
青柳は昔から負けん気が強いだけでなく、コメントもうまい。No Fear が彼の口から飛び出したときも、うまいことを言うなと思った。会見はドンキホーテの店内で、お客さんを前に行われたようだが、彼が No Fear を口にした途端、おおっとどよめきがあがった。
野村のコメントもよかった。彼は口べたなのか、あまりコメントに冴えがないのだが、この日はちょっと違った。記者から「ベテランの挑戦者をどう思うか」と問われ、彼はほっぺたでニコニコ笑いながら「これに勝ったら、もう、おっさんの挑戦は受けない。おっさんを消滅させます」と応えた。
「おっさんを消滅させます」には会場からも笑い声があがった。野村のコメントとしては上等の部類に入るだろう。
こういう楽しい前哨戦を見せられたら、本戦も見ないわけにはいかない。大森にはおっさんの意地を、木高にはジュニア・ヘビーの老練で老獪な技術を見せて欲しい。(大森は木高の師匠格だが、実際の試合でチームをリードすべきは木高のほうだろう。タイトルを獲るか獲れないかは、木高の活躍にかかっていると思う。)それが野村・青柳の爆発力とぶつかれば、これはもう面白くないわけがない。
Saturday, August 25, 2018
エドワード・アタイヤ「残酷な火」
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