わたしが一番好きなレスラーはジャイアント馬場。あの人は、戦うときは独特の凄みがあるけれど、普段は温厚な紳士で、いかにも懐が広く、しかも温かい感じがした。なによりも好感を抱いたのは、彼が読書家であると言う点。たしか丸谷才一が書いていたはずだが、馬場さんは近頃読んで面白かった本として石川淳の「狂風記」をあげたことがあった。なかなかいい趣味をしている。
今の全日本プロレスで読書家といえば大森隆男だろう。たしか若い頃、武者小路実篤の本が好きだったとか聞いたことがある。
青木篤志も今年だったか去年だったか、なにかのきっかけでシェイクスピアを読んでいた。
わたしは本好きなので、読書をするレスラーにはとりわけ親近感を抱く。
そういえばアメリカの人気レスラー、ジョン・セナは今年の九月ころに子供向けの本を出すそうだ。映画の「カーズ」とよく似た話で、こっちはモンスター・トラックの家族が活躍するらしい。
アメリカのレスラーは本格的な自伝を書くことも多い。現役時代は「マンカインド」を名乗っていたミック・フォーリーの Have a Nice Day なんてベストセラーになっているのだからたいしたものだ。それほど文章はうまくないけど、達意ではある。ちなみにこの本はゴースト・ライターが書いたものではない。ミックはその点を序文であきらかにしている。あれは翻訳が出ているのだろうか。出てないならこのブログで紹介してもいいけれど。
Friday, August 31, 2018
今月の注目作
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ウィリアム・スローン(William Sloane)は1906年に生まれ、74年に亡くなるまで編集者として活躍したが、実は30年代に二冊だけ小説も書いている。これが非常に出来のよい作品で、なぜ日本語の訳が出ていないのか、不思議なくらいである。 一冊は37年に出た「夜を歩いて」...
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「ミセス・バルフェイムは殺人の決心をした」という一文で本作ははじまる。 ミセス・バルフェイムは当時で云う「新しい女」の一人である。家に閉じこもる古いタイプの女性ではなく、男性顔負けの知的な会話もすれば、地域の社交をリードしもする。 彼女の良人デイブは考え方がやや古い政治家...