Thursday, August 9, 2018

バカにしてんだろ

全日本プロレスの中島洋平が最近「バカにしてんだろ」を口癖にしている。試合後、インタビューをする記者にまで「バカにしてんだろ」と言う。

人の心理を読むことに長けた Tajiri は、バカにしているのは実は自分じゃないか、という内容のことをツイッターでつぶやいていたが、まったく同感である。

組織や集団の中である一定の地位を占めることができないという不全感、それが積もり積もって憎悪や復讐心になる。ニーチェはそれをルサンチマンと呼んだ。

こういうルサンチマンは一般人がみな持っているもので、要するに中島洋平は一般人の鏡となっているのである。そしてこういう真実を映す鏡は嫌われるものである。

中島がいまの役回りをどれくらい意識して演じているのかわからないが、はっきり言ってこれは損。中島本来の性格とも相容れないだろう。もともとはおばあちゃんを思いやったりする心優しい青年なのだから。

いま彼がするべきことは敵ではなく、味方を作ることである。せっかくジュニアタッグリーグでブラック・タイガー VII と組んでいるのだから、彼から信頼されるように精一杯戦えばいいのである。ブラック・タイガー VII は他団体に所属しているが、全日本のために隨分力を尽くしてくれている。それに応える意味でも所属選手の中島は必死になるべきなのだ。それに Tajiri と岩本煌史のタッグのように、あるいは宮原健斗とヨシタツのように、異質なものが組み合わされて、いったいそこからなにが生まれてくるのか、どんな化学反応が起きるのか、という興味も、ファンを惹きつける大切な要素の一つだ。最初から「バカにしてんだろ」では、この面白さ・醍醐味を否定することになる。もっというなら、こうした化学実験に成功し、所属選手同士のみならず、他団体やフリーの選手ともよいコンビが組めるようになること、その多彩さがジュニアヘビーの活性化につながり、ひいては全日本プロレスの将来を形づくるはずである。

他のレスラーに信頼される瞬間こそ、中島の「覚醒」の瞬間だろう。

(まったく噛み合わないブラック・タイガー VII とのコンビも悪くはないけど、リーグが終われば、はい、それまでという関係ではなく、もっと長い物語を紡げるように工夫して欲しい)

関口存男「新ドイツ語大講座 下」(2)

§2. Der ? ach, dem traut ja keiner. あいつか?へん、あんなやつに誰が信用するものか。 trauen : 信用する。 ja : (文の勢いを強めるための助辞)  前項のは名詞に冠したものでしたが、こんどは名詞を省いたもの...