腕立て伏せをする際、肩幅に合わせて床に手をつけば、腕の筋肉を鍛えることができる。肩幅よりもやや広く手をつくなら、胸の筋肉を鍛えることができる。わたしは両方をやるようにしている。
ホーム・ワークアウトではあまり筋肉は大きくならないと言われているけれど、そんなことはない。短期間に一気に、ではなく、時間をかけて少しずつ筋肉をつけたいという人は、すくなくとも最初のうちは自重運動がもっとも適していると思う。
わたしが腕の太さを感じたのは寝ているときだった。わたしは結構寝返りを頻繁にうつほうなのだが、あるとき、寝返りが打てなくて、はっと目が覚めた。
それまでは腕が細かったから、腕を下にしたまま、ごろりと反転することが可能だったのだが、腕が太くなると、反転しようとする身体の邪魔をするようになったのである。まるで自動車の行く手に横たわる倒木のような感じだった。
自分の腕に、自分の動きが疎外されるという、それまでになかった事態が発生し、夢うつつの状態だったわたしはぎょっとして起きてしまった。
それ以来、寝ているときに腕が邪魔に感じられるようになった。仰向けに寝ながら胸の上で腕組みすると、重くて圧迫されるような気がする。体側に伸ばしておくと寝返りの邪魔になる。
筋肉がつくのは嬉しいことではあるけれど、自分との付き合い方が変わっていくということでもある。
Sunday, September 23, 2018
関口存男「新ドイツ語大講座 下」(4)
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