BBCのニュースで五十年前の短編映画が再発見されたと報じられた。
二十分ほどの短い作品で、ポーの「告げ口心臓」を映像化したものらしい。
製作会社であるアデルフィ・フィルムはこの短編映画を永年探し続けてきたが見つからず、ほとんどあきらめかけていたところ、16ミリ映画の蒐集家であるジェフ・ウエルズさんが、自分が所有している旨を連絡してきたらしい。
スタンリー・ベイカーの演技が素晴らしいらしいので、是非みたいものだ。British Film Institute のウエッブサイトではハロウィンに合わせて二週間ほどこのフィルムを無料公開しているようだが、もっぱら英国向けのようで、日本からアクセスしても見ることができない。残念だ。
白黒映画はカラーに較べて面白くないという人が多いが、そういう人はほとんど白黒映画を見ていない。わたしはアメリカにいたとき、大学の図書館にある映画を二年ほどかけて、時代順に丁寧に見ていったことがある。そのとき衝撃だったのは、白黒映画が築きあげ、持っていた画面の緊張感が、カラー映画になった途端に乱れ、失われたということである。それは強烈な印象となってわたしの中に残っているが、しかしなぜそう感じたのかは、いまだによくわからない。
1953年に制作された映画が再発見されたという今回のニュースを聞いて、わたしもふと昔の不思議な印象を思い出した。映画のほうは見られないけれど、ハロウィンのあいだは、わたしが抱いた印象の謎について考えて見たいと思う。
Thursday, November 1, 2018
エドワード・アタイヤ「残酷な火」
エドワード・アタイヤ(1903-1964)はレバノンに生まれ、オクスフォード大学に学び、スコットランド人の女性と結婚した作家である。自伝や「アラブ人」という評論が有名だが、ミステリも何冊か書いている。ウィキペディアの書誌を見る限り「残酷な火」(61)は彼が書いた最後のミステリ...

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