BBCのニュースで五十年前の短編映画が再発見されたと報じられた。
二十分ほどの短い作品で、ポーの「告げ口心臓」を映像化したものらしい。
製作会社であるアデルフィ・フィルムはこの短編映画を永年探し続けてきたが見つからず、ほとんどあきらめかけていたところ、16ミリ映画の蒐集家であるジェフ・ウエルズさんが、自分が所有している旨を連絡してきたらしい。
スタンリー・ベイカーの演技が素晴らしいらしいので、是非みたいものだ。British Film Institute のウエッブサイトではハロウィンに合わせて二週間ほどこのフィルムを無料公開しているようだが、もっぱら英国向けのようで、日本からアクセスしても見ることができない。残念だ。
白黒映画はカラーに較べて面白くないという人が多いが、そういう人はほとんど白黒映画を見ていない。わたしはアメリカにいたとき、大学の図書館にある映画を二年ほどかけて、時代順に丁寧に見ていったことがある。そのとき衝撃だったのは、白黒映画が築きあげ、持っていた画面の緊張感が、カラー映画になった途端に乱れ、失われたということである。それは強烈な印象となってわたしの中に残っているが、しかしなぜそう感じたのかは、いまだによくわからない。
1953年に制作された映画が再発見されたという今回のニュースを聞いて、わたしもふと昔の不思議な印象を思い出した。映画のほうは見られないけれど、ハロウィンのあいだは、わたしが抱いた印象の謎について考えて見たいと思う。
Thursday, November 1, 2018
英語読解のヒント(145)
145. 付帯状況の with 基本表現と解説 He was sitting, book in hand, at an open window. 「彼は本を手にして開いた窓際に座っていた」 book in hand は with a book in his hand の...
-
昨年アマゾンから出版したチャールズ・ペリー作「溺れゆく若い男の肖像」とロバート・レスリー・ベレム作「ブルーマーダー」の販売を停止します。理由は著作権保護期間に対するわたしの勘違いで、いずれの作品もまだ日本ではパブリックドメイン入りをしていませんでした。自分の迂闊さを反省し、読者の...
-
久しぶりにプロレスの話を書く。 四月二十八日に行われたチャンピオン・カーニバルで大谷選手がケガをした。肩の骨の骨折と聞いている。ビデオを見る限り、大谷選手がリングのエプロンからリング下の相手に一廻転して体当たりをくわせようとしたようである。そのときの落ち方が悪く、堅い床に肩をぶつ...
-
19世紀の世紀末にあらわれた魅力的な小説の一つに「エティドルパ」がある。これは神秘学とSFを混ぜ合わせたような作品、あるいは日本で言う「伝奇小説」的な味わいを持つ、一風変わった作品である。この手の本が好きな人なら読書に没頭してしまうだろう。國枝史郎のような白熱した想像力が物語を支...