エドガー・ミッテルホルツァーのゴースト・ストーリー「わが骨、わがフルート」をアマゾンから出すことになった。
ミッテルホルツァーは英語でカリブ海文学を書き始めた最初のひとりである。死後、ずいぶん長いこと忘れられた存在だったが、ここ十年ほどのあいだにいくつかの作品が復刊され、そのなかでも「わが骨、わがフルート」は特に人気が高い。
呪いのかかった古文書の謎を解くためネヴィンソン一家とミルトンという若者がジャングルの奥地へ行き、そこで不思議な現象に遭遇する話である。ホラーではないから、そんなに怖いことはないのだが、ジャングルの溢れんばかりの色彩と匂い、そしてその奥に秘められた謎めいた闇が魅力的に描写されている。
欧米ではなぜかクリスマスのシーズンに幽霊譚を読む風習があるので、静まりかえった夜中にちょっとだけ怖い物語を読むのもいいのではないだろうか。ジャングルのなかで展開する物語なので、ほんのり身体が温まるかもしれない。
文学的なホラーが読みたいというのであれば、おなじくミッテルホルツァーの「エルトンズブロディ」を手にとって欲しい。これもアマゾンから拙訳が出ている。
エドワード・アタイヤ「残酷な火」
エドワード・アタイヤ(1903-1964)はレバノンに生まれ、オクスフォード大学に学び、スコットランド人の女性と結婚した作家である。自伝や「アラブ人」という評論が有名だが、ミステリも何冊か書いている。ウィキペディアの書誌を見る限り「残酷な火」(61)は彼が書いた最後のミステリ...

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