Wednesday, December 19, 2018

海賊版の問題

ガーディアン紙の記事「あなたは海賊版の書籍を読んだことがありますか? 海賊版によって影響を受けたことは? 経験を語ってください」に投稿した。

英国の知的財産局によると、オンラインで売られている十七パーセントの本は海賊版が出ているそうだ。約四百万冊だという。出版協会の協会長によると、海賊版を利用しているのは社会的・経済的に富裕な層であって、年齢は三十一から五十台の人々。本が買えない人々ではない。一般にはティーンエイジャーが海賊版利用の主犯者と言われているが、それは間違いであるようだ。

さて、この記事は次の部分が問題である。

「海賊版の広がりは、作者の収入の減少と一致している。世界中どこでもそうだ。イギリスの場合、作者の収入は最低賃金以下に押し下げされた。作者と出版社は海賊版を提供するサイトと戦っているが、際限のない戦いを強いられるという。人気のある海賊サイトをなくさせても、あらたなドメイン・ネームであらたなサイトが立ち上がるだけだからだ」

ここを読むと海賊版が出たから作者の収入が減った、作者と出版社は「ともに」戦っているような印象を与える。とんでもない。出版社は作者を搾取している。出版社がもともと作者の収入を「海賊」していることを無視している。

わたしは以前、ズットナーの「武器を捨てよ!」という本を共訳したことがある。その本は岩波から出版されることになった。そのとき岩波はどういう条件を出したか。初版の収入はすべて岩波のものとする。第二版が出ることになったら、印税はその時点から支払いがはじまる、といったのだ。

本が売れなくて初版で終わっていたら、訳者たちに収入はない。ほかの翻訳者たちは高校や大学の先生であり、岩波から本を出したという事実は彼らの経歴にとって勲章になるのだろう。だから初版は無報酬でもあまりある栄光を手に入れられるのかもしれない。しかしわたしはただの翻訳者だ。無報酬なんてとんでもない。岩波はブラック企業にしか見えなかった。

わたしは岩波の条件を唯々諾々と呑んだほかの翻訳者に嫌気がさし、第二版以後の印税はおまえらのあいだで分けろ、おれはいらない、といって完全に手を切ることにした。

岩波は左翼の牙城のように思われているが、やっていることはブラックである。左翼の学者が岩波にそんなことをさせてはいけない。しかし日本のリベラリズムなどその程度でしかないとわたしは悟った。

こういう記憶があるから、出版社と作者のあいだには根底的な「対立」が存在していることをわたしは知っている。

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