外を歩いているときなど、ときどき無意識のうちに自分の胸をとんとんと叩くことがある。大胸筋が大きくなり出した頃から身に着いた癖である。
大胸筋が発達するのはうれしいものだ。腕が太いのは力をあらわし、足が太いのは頑健さを示すが、胸の分厚さは「頼りがい」を感じさせる。この「頼りがい」は他人が見て感じるだけでなく、自分にとってもそうなのである。自分が自分に頼りがいを感じる、それが自信というものだろう。
わたしが胸をとんとんと叩くのは、身体の変化を確認し自己満足にひたるというより、不安を鎮めるためのような気がする。自分にはこの大胸筋がある、怖れることはない。そう自分に言い聞かせているような気がする。
実は最近、風邪をひいてしばらく寝込んでしまった。今の風邪はわたしが子供の頃に経験した風邪とは違い、症状の出方が微妙に違うし、なかなか自然治癒しない。数年前にかかった風邪は、熱が収まっても咳だけが残り、しかもそれが数カ月間つづいた。風邪は意外と怖い病気である。
わたしは薬を飲んで横になりながら、ぽんぽんと胸を叩いた。これだけ身体を鍛えているのだから、抵抗力はあるはずだ、心配することはない、と思いながら。
幸いにして寝込んだのは一日だけで、そのあと二日くらいで完全に回復した。今日からはまた普通にトレーニングを開始するつもりでいる。
Wednesday, December 5, 2018
英語読解のヒント(184)
184. no matter を使った譲歩 基本表現と解説 No matter how trifling the matter may be, don't leave it out. 「どれほど詰まらないことでも省かないでください」。no matter how ...
-
アリソン・フラッドがガーディアン紙に「古本 文学的剽窃という薄暗い世界」というタイトルで記事を出していた。 最近ガーディアン紙上で盗作問題が連続して取り上げられたので、それをまとめたような内容になっている。それを読んで思ったことを書きつけておく。 わたしは学術論文でもないかぎり、...
-
ウィリアム・スローン(William Sloane)は1906年に生まれ、74年に亡くなるまで編集者として活躍したが、実は30年代に二冊だけ小説も書いている。これが非常に出来のよい作品で、なぜ日本語の訳が出ていないのか、不思議なくらいである。 一冊は37年に出た「夜を歩いて」...
-
アニー・ヘインズは1865年に生まれ、十冊ほどミステリを書き残して1929年に亡くなった。本作は1928年に発表されたもの。彼女はファーニヴァル警部のシリーズとストッダード警部のシリーズを書いているが、本作は後者の第一作にあたる。 筋は非常に単純だ。バスティドという医者が書斎で銃...