関本・岡林のチャンピオン組に崔・ジェイク組が挑戦する世界タッグだが、これはもう若いジェイクにがんばってもらうしかない。わたしはジェイク・リーこそ若手のナンバーワンだと思っているし、全日本のヘビーの顔となるべき存在だと考えている。彼がチャンピオンになれば、若手の勢力図は眼に見えて変動し、活性化するだろう。また崔選手と組んでよい結果を出すことは、積極的に外部の人材を取り込む全日本の方針の実り豊かさを示すことにもなるだろう。
しかし関本・岡林組はとんでもなく頑強な身体を持ったチームである。暴走大巨人組からベルトを奪い取った試合を見たが、彼らの上体の力は尋常ではない。腕力やぶつかりあいでは彼らに勝つことはできないだろう。
ただジェイクにも崔にも蹴りの技術がある。勝つチャンスがあるとすれば、これをうまく使えるかどうかが鍵となるのではないか。暴走大巨人との試合を見て気づいたのだが、石川修司が突進する相手の腹部に膝を合わせたり、リング上にへたり込んでいる相手の胸に膝を当てる攻撃は、かなり効果的だった。相手に読まれると、逆用されるが、不意をつけば、足や膝の攻撃は、チョップのような上体を使った攻撃よりも重くて、与えるダメージが大きい。
それでも関本・岡林はタフだ。先の試合で石川は、膝の攻撃により関本からスリーカウントを取るチャンスを作ったが、必殺技を一発出した程度ではまだ息の根を止めることができなかった。崔・ジェイク組は、膝やキックの攻撃のほかに、決め技を二発目、三発目まで用意しておかなければならないだろう。
容易な相手ではないが、しかし戦いがいはある。挑戦者チームには大いにがんばって貰いたい。
Thursday, February 7, 2019
新刊について
新しい翻訳を出したのでご報告します。エセル・リナ・ホワイトの「恐怖が村に忍び寄る」。原題は Fear Stalks the Village 。以前、「本邦未訳ミステリ百冊を読む」というブログを掲載していた時に読み、強烈な感銘を受けました。まるでお伽噺に出てくるような美しい景色が...
-
ウィリアム・スローン(William Sloane)は1906年に生まれ、74年に亡くなるまで編集者として活躍したが、実は30年代に二冊だけ小説も書いている。これが非常に出来のよい作品で、なぜ日本語の訳が出ていないのか、不思議なくらいである。 一冊は37年に出た「夜を歩いて」...
-
アリソン・フラッドがガーディアン紙に「古本 文学的剽窃という薄暗い世界」というタイトルで記事を出していた。 最近ガーディアン紙上で盗作問題が連続して取り上げられたので、それをまとめたような内容になっている。それを読んで思ったことを書きつけておく。 わたしは学術論文でもないかぎり、...
-
「ミセス・バルフェイムは殺人の決心をした」という一文で本作ははじまる。 ミセス・バルフェイムは当時で云う「新しい女」の一人である。家に閉じこもる古いタイプの女性ではなく、男性顔負けの知的な会話もすれば、地域の社交をリードしもする。 彼女の良人デイブは考え方がやや古い政治家...