こんなユダヤ人ジョークがある。若い男が汽車に乗り、歳老いた男の隣に座った。歳老いた男は「喉が渇いた、喉が渇いた」と言いつづけている。とうとう若い男は我慢できなくなり、べつの車輌に行って水を持ってきて老人に与える。老人は水を飲んで静かになる。しかし数分すると老人はもじもじしだし、ついに叫び出す。「あんなに喉が渇いていたのに、あんなに喉が渇いていたのに」これは人間の欲望がどう働くかをよく示しているジョークだ。なにが老人の不満なのか。不平を言う目的はなんなのか。老人はこう云っているように見える。「おまえはわたしの demand を満足させることができる。わたしは水を要求し、あなたはそれを与えてくれた。しかしわたしの desire はまだ継続している」老人は喉の渇きをいやしたいというより、「喉の渇いた人間」として認められたいのである。つまり他者を操作、支配することが問題なのだ。
Aaron Schuster の講演から
Sunday, April 28, 2019
独逸語大講座(20)
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