Friday, May 31, 2019

A. Fielding という謎の作家

プロジェクト・グーテンバーグ・オーストラリアを見たら、先月、今月と A. Fielding の作品がデジタル化されてコレクションに加わっている。

A. Fielding は謎のミステリ作家で、生年も没年も不明である。ペンネームに A. Fielding あるいは A. E. Fielding あるいは Archibald Fielding を用いていたが、本名は Dorothy Feilding であるらしい。貴族の Lady Dorothy Feilding ではないかといわれたこともあったが、gadetection の記事によると、これは間違いのようだ、とある。ある人が当時の電話帳や選挙人名簿を使ってこの作家の足取りを追跡しようとしたが、結局たいしたことはわからなかった。

ただ1920年代から40年代にかけて発表された二十数冊のミステリ小説だけが残っている。二十世紀に入っても作者の伝記的情報がまったくわからない例があるというのはちょっと驚きである。こうした例は彼女だけでは無いのだけれど。

わたしの記憶が正しければ、たしかクリスティが A. Fielding の愛読者だったはずだ。わたしは A. Fielding の「牧師館にて」(Mystery at the Rectory 1936)を読んだことがあるが、文章が素人的であること、稚気に充ちた仕掛けがあること、犯人の意外さという点でクリスティによく似ていると思った。他の作品も読みたかったのだが、あのころは PDF にも text ファイルにも epub ファイルにも電子化されたものがなかったのであきらめた。

それがプロジェクト・グーテンバーグ・オーストラリアで次々と電子化され、目録を見ると A. Fielding の未読の作品が六冊も収録されている。これから全部読まなくちゃならない。

ジュアンーデヴィッド・ナシオ「精神分析と反覆」

  本書は現代フランス思想叢書の一冊として SUNY Press から2019年に出版された。著者はまったく知らないが、題名に惹かれて読むことにした。 最初のほうに随分ナイーブな言明があらわれてびっくりした。精神病患者は症候の解釈を与えられると、その症候から解放されるというのであ...