全日本のタッグの面白さは、組み合わせの意外性にある。去年は秋山が関本と組み、ファンを喜ばせた。宮原とヨシタツだって、所属選手とフリーの選手の組み合わせで、われわれはびっくりした。最初は仲が悪そうだったので、どうなることかと思ったら、案外うまくいっている。今度はゼウスと丸山敦の取り合わせだ。強面の代表格と、おちゃらけの代表格がくっついたんだから、最初はちょっと唖然とした。しかし丸山の「緩さ」はゼウスに心のゆとりをもたらすかもしれないし、逆にゼウスの本気は丸山の怖さを引き出すかも知れない。いや、そうなってほしい、というのがわたしの願いである。
ゼウスは一度三冠を取ったものの、短期間で王座を宮原に譲り、チャンピオン・カーニバルでの成績もちょっとさえなかった。誰もが知っているように、ゼウスは真面目な選手で、ひたすら道を求めるように肉体を鍛え、試合では真っ向勝負をいどむ。それはすばらしいのだが、反面、あまりにも直線的、あまりにも硬直的すぎる印象がある。もうすこし曲線的に、もうすこしずるく試合をして、ある種の緩急を表現したほうがいいのじゃないかと思う。彼の試合はすごいけれども、それは単調なすごさなのだ。宮原に三冠を取られたときも、最後はぽきっと折れたように負けてしまったが、ゼウスがちがう戦い方を知っていたなら、宮原といえどもゼウスにどれだけ勝てるかわからない。
丸山はジュニアとして最近はあまり活躍していないようだが、これを機にひとつ奮起してほしい。観客を楽しませるのも大事だけれど、肝腎な試合では強さを見せて存在感をアピールしてほしい。わたしは丸山と竹田誠志のタッグチームをいつも応援しているが、ゼウスと丸山のコンビもそれ以上に応援し、期待をかける。
Saturday, May 11, 2019
エドワード・アタイヤ「残酷な火」
エドワード・アタイヤ(1903-1964)はレバノンに生まれ、オクスフォード大学に学び、スコットランド人の女性と結婚した作家である。自伝や「アラブ人」という評論が有名だが、ミステリも何冊か書いている。ウィキペディアの書誌を見る限り「残酷な火」(61)は彼が書いた最後のミステリ...

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