前回アーノルド・ベネットについて書いたが、今回はそのつづき。
ベネットの代表作「老妻物語」(のちに改題されて「ふたりの女の物語」となったようだ)は日本語に訳されているけれど、その本がなかなか入手しにくいようだ。本を読んだ方がこんな感想を書いていた。話は面白いのだが、本を探すのに苦労した。しかもかなり高い値段で買わなければならなかった、と。
図書館にはあるのかなと思って検索してみたら、わたしが住む町の市立図書館にはないようだ。よく行く中央図書館で相互貸借願いを出して別の図書館から借りてもらわなければならない。
これは問題だ。最近ジャックリン・ウィルソンがガーディアンのインタビューに答えてこんなことを言っていた。「老妻物語」は非常に鋭い、人間の心理を深く抉った小説である。その通り。あれは物語として感動的であるだけでなく、人間にたいする洞察力の点でもずば抜けている。
そのすぐれた作品が入手困難とはこまったことである。ついでに調べたら「クレイハンガー」も訳が出ていないようだ。おいおい。どうなっているんだ。わたしが見たサイトの作品リストには「ライシーマン・ステップス」も「生き埋め」も翻訳されていないことになっているが、ほんとうなのか?
まさかベネットの本がこんなに未訳のまま残っているとは思わなかった。ちょっと予定を変更して少なくとも「老妻物語」や「クレイハンガー」は訳そうか。あきれたなあ。
Tuesday, May 7, 2019
英語読解のヒント(184)
184. no matter を使った譲歩 基本表現と解説 No matter how trifling the matter may be, don't leave it out. 「どれほど詰まらないことでも省かないでください」。no matter how ...
-
アリソン・フラッドがガーディアン紙に「古本 文学的剽窃という薄暗い世界」というタイトルで記事を出していた。 最近ガーディアン紙上で盗作問題が連続して取り上げられたので、それをまとめたような内容になっている。それを読んで思ったことを書きつけておく。 わたしは学術論文でもないかぎり、...
-
ウィリアム・スローン(William Sloane)は1906年に生まれ、74年に亡くなるまで編集者として活躍したが、実は30年代に二冊だけ小説も書いている。これが非常に出来のよい作品で、なぜ日本語の訳が出ていないのか、不思議なくらいである。 一冊は37年に出た「夜を歩いて」...
-
アニー・ヘインズは1865年に生まれ、十冊ほどミステリを書き残して1929年に亡くなった。本作は1928年に発表されたもの。彼女はファーニヴァル警部のシリーズとストッダード警部のシリーズを書いているが、本作は後者の第一作にあたる。 筋は非常に単純だ。バスティドという医者が書斎で銃...