戦争小説を訳そうと思っているが、これを機にと、戦争小説でまだよんでなかった本を去年の終わり頃から読みはじめた。火野葦平の兵隊ものはその一つである。
彼は戦犯作家と認定されたが、確かに「土と兵隊」や「麦と兵隊」を読むと、他者にたいする視線の欠如に唖然とする。
ただ「土と兵隊」は非常に参考になった。どこが参考になったかというと、兵隊が泥まみれになって、進軍していくという部分である。
わたしが訳そうと考えている小説も「土と兵隊」と同様に季節は秋だ。そして山中を行軍するのだが、雨が降り、本道は泥濘と化し、兵隊達は泥人形のようになるのである。そして主人公である語り手は、「われわれは敵と戦っているのではなく、泥と戦っている」とすら考えるようになる。この作品はかなりシンボリックな書き方がされているのだが、しかし泥まみれになることが兵隊の現実であることを知ることが出来たのは貴重だ。わたしが作品に踏みこんでいくときの、ひとつの足場となるだろう。
Saturday, June 8, 2019
エミール・C・テッパーマン「すまないね、ミスタ・ヒロヒト」
最近、檀一雄の「真説石川五右衛門」、石川淳の「狂風記」、そしてテッパーマンの「すまないね、ミスタ・ヒロヒト」を立てつづけに読み、パルプ小説とはなんだろうと思った。どの作品もほとんど人間を越えたエネルギーを表現しようとしている。そして人間を越えるあまり、そのエネルギーは「死」に...
-
ウィリアム・スローン(William Sloane)は1906年に生まれ、74年に亡くなるまで編集者として活躍したが、実は30年代に二冊だけ小説も書いている。これが非常に出来のよい作品で、なぜ日本語の訳が出ていないのか、不思議なくらいである。 一冊は37年に出た「夜を歩いて」...
-
§9. 不定の意を強める irgend 「何か」(etwas, was)といえばよいところを、特に念を入れて「何でもよいからとにかく何か」といいたい時には irgend etwas, irgend was といいます。その他不定詞(ein, jemand,...
-
§10. Wir helfen einer dem andern . (Wir helfen einander.) おれたちはお互いに助け合う 「一人が他に」(einer dem andern)も「一人が他を」(einer den andern)も「一人が...