Thursday, July 11, 2019

精神分析の今を知るために(6)

われわれのファンタジーそのものがわれわれにとっては異質なものでありうるのである。それらは言語によって構成され、限りなく漸近線的にわれわれに接近するにすぎないからだ。われわれのファンタジーは、実は他人のファンタジーが移植されたものなのかもしれない。自分のファンタジーが母や父のファンタジーであることに気づくこともあるだろう。いつの間にそんなものが自分の頭に宿ったのかさっぱりわからないけれど。これは人々にもっとも疎遠感を感じさせるものの一つである。自分のファンタジーすら自分自身のものではないように思われるからだ。

ブルース・フィンク「ラカン的主体」から

マリ・ドルトン「跪く女の謎」

マリ・ドルトン(Moray Dalton)は1881年にロンドンに生まれ、スコットランドヤードのヒュー・コリアー警部を主人公にしたミステリを三十冊近く書いた。近年 Dean Street Press が彼女の作品を電子化して出しており、わたしもはじめて彼女の本を手にした。1936...