最近読んだアカデミックな著作の中で、いちばん秀逸だったのはこのコルデラという人が書いた Surplus: Spinoza, Lacan という本だ。ラカンとスピノザの関係、とりわけスピノザの無限の概念からラカンの剰余の概念を説明していく手際はあざやかで、コンパクトにまとまっている。ジジェクなどはスピノザをラカンと相容れないと考えているようだが、そうではないということを見事を示してくれた。さらにマルクスの剰余概念にも議論は及び、わたしは大いに蒙を啓かれた。先月、岩井克人の「貨幣論」を読んで、まるでだめだと思ったが、コルデラの議論にははたと膝を打った。
コルデラはもともとはスピノザの研究者なのだろうか。ずいぶん大部の専門書を出しているようだ。しかしラカンに対する切り口は鋭く、明晰で、アレンカ・ズパンチッチにも負けないくらい知的な起爆力を持った議論を展開する。今年は彼女の本を探し出して、じっくり腰を据えて読もうと思っている。
Sunday, July 21, 2019
英語読解のヒント(201)
201. 倒置 (2) 基本表現と解説 A smart fellow he is. A smart fellow is he. 主格補語としての名詞が主語の前に置かれる例を示す。上例はいずれも「彼は利口な男だ」という意味。二番目の例は主語と述語が倒置されたケースで、一...
-
ウィリアム・スローン(William Sloane)は1906年に生まれ、74年に亡くなるまで編集者として活躍したが、実は30年代に二冊だけ小説も書いている。これが非常に出来のよい作品で、なぜ日本語の訳が出ていないのか、不思議なくらいである。 一冊は37年に出た「夜を歩いて」...
-
アリソン・フラッドがガーディアン紙に「古本 文学的剽窃という薄暗い世界」というタイトルで記事を出していた。 最近ガーディアン紙上で盗作問題が連続して取り上げられたので、それをまとめたような内容になっている。それを読んで思ったことを書きつけておく。 わたしは学術論文でもないかぎり、...
-
「ミセス・バルフェイムは殺人の決心をした」という一文で本作ははじまる。 ミセス・バルフェイムは当時で云う「新しい女」の一人である。家に閉じこもる古いタイプの女性ではなく、男性顔負けの知的な会話もすれば、地域の社交をリードしもする。 彼女の良人デイブは考え方がやや古い政治家...