Sunday, August 4, 2019

「プライオリー邸」ドロシー・フイップル作

今年読んだ本の中では出色の出来だった。ドロシー・フイップルはジェイン・オースティンの直系の作家で、上流階級の恋愛や結婚をめぐるゴシップ性の強い物語を書かせたら、右に出る者は……そうはいないと思う。

本作はプライオリー邸に住む貴族一家の没落の過程を描いている。やもめの主人が結婚し、娘二人が嫁ぎ、使用人たちがトラブルを起こし……と、じつにさまざまな人々の人生模様が巧みに語られる。五百ページを超える大作だが、わかりやすくて心地のいい語り口に身を任せると、あっという間に半分近くも読んでしまう。

とりわけ感心するのは、登場人物がそれぞれ粒だった性格を持っていることだ。プライオリー邸の主は金銭感覚のないクリケット狂いで、いかにも没落貴族の中にはこんな人がいそうな気がする。彼と結婚したアンシアが、子供ができてからは存在感を増し、じつに堂々たる女主人となるさまも見事に描き込まれている。いちばん感心したのは、ヌーボーリッチであるとある実業家の母親の、こんな描写だ。彼女はロールスロイスから降りる時、おしりから先に外に出る癖があるというのだ。これを読んだとき、彼女の老齢、自動車が一般化した時代性、実業家の息子を持ったが故の、彼女の人生の変遷、などなどいろいろなことを想像させられ、感慨深かった。

ドロシー・フイップルは今でも十分読むに値する。これだけ自然に、興味深く、語りをつづけられる作家はなかなかいない。もちろんその自然さがある種の犠牲の上に成り立っているにしても。

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