旧聞に属するが、9月18日に行われた全日本プロレス新木場大会ではメインイベントとして宮原健斗対黒潮"イケメン"二郎戦が組まれた。全日の公式Youtubeチャンネルでその試合のダイジェストを見たが、じつによかった。黒潮"イケメン"二郎は明るくて華のある選手だ。コスチュームといい、その色合いといい、あの長髪といい、ダイナミックなキックといい、ロープ越しのジャンプといい、いちいち人目を引き、観衆をわかせる派手さを持っている。もちろん実力もあって、何度も宮原を追い込んでいた。実力があるだけではなく、きっとこういうエンターテイメント性の強い選手が今後のプロレスを引っ張っていくのではないだろうか。
宮原が試合後、彼といっしょにマイクパフォーマンスをしたのもよかった。宮原は選手の少ない全日本プロレスの盛り上げ方、これからの会社の戦略をよく理解して行動している。それは全日本以外の選手を積極的に取り込んでいくという戦略である。そのためには良い選手とはタッグチームを作ることもある。諏訪魔と石川のコンビとか、宮原とヨシタツのコンビ、ゼウスと崔のコンビなどがそのいい例だ。さらにヨシタツとレッドマンのコンビとかも期待大である。イケメンは試合後のインタビューで、アメリカに行く前に一度宮原と組んでやってみたいと言っていたが、こういうふうに将来の可能性の種をまくことが全日本をひっぱるエースの仕事である。
若手が宮原から三冠奪取をねらっているが、はたして彼らにこういう仕事ができるか。
Wednesday, October 16, 2019
ジュリアン・マクラーレン・ロス「四十年代回想録」
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