わたしは翻訳の際、エディタに Mery というフリーソフトを使っている。これはほんとうにすばらしい。わたしが使っているコンピュータは十年以上前に買ったもので、もちろん OS は XP である。CPU はセルロンのなんとかで、非力なことこの上ない。しかしそんなマシンでも Mery は快適に動く。
さらに縦書きができる。英語を訳すときには英語に合わせて横書きで日本語を書いていくのだが、訳文を読み返すときは縦書きでないとなんだか落ち着かないのだ。最終的に商品として提供するときは縦書きなので、その見栄えをチェックするという意味もある。縦書きのできるフリーソフトはほかにもあるのだが、Mery 以前にはあまりよいものがなかった。ファイルが大きくなるとわたしのコンピュータでは動きが遅すぎて使い物にならなくなるのだ。しかし Mery は一メガバイトくらいのテキストなら即座に開けるし、編集も問題なく出来る。わたしの使い方は他の人と較べたら隨分単純なものだけど、そんな単純な用途に充分役立つエディタは、案外なかったのだ。
わたしはコンピュータに接するようになって感動したことが二つある。一つはプロジェクト・グーテンバーグのようにパブリック・ドメイン入りしたテキストを無料で提供する活動。もう一つはすぐれたフリーソフトを無料で提供するすばらしいプログラマー達の存在である。
とくにはじめてフリーのエディタを使ってみたときは呆然とした。それは横書きしかできないものだったけれど、機能も豊富で動きもきびきびしていた。こんなにいいソフトが無料で使えるのかと、わたしは感動して胸が熱くなった。そして無料のエディタを使う内に、自分もなにかお返しができないだろうか、無料でよいものを提供するというこの「場」にわたしも参加できないだろうかと思うようになった。それからパブリック・ドメイン入りしたテキストを入力をしたり、翻訳を無償で提供したりするようになったのである。
そういうわけでエディタを作っているプログラマーの方々には感謝の念を抱いている。永年愛用している Mery の作者さまには特に感謝したい。
Friday, October 11, 2019
英語読解のヒント(199)
199 分離不定詞 基本表現と解説 She is too shy to really enjoy society. 「あの方はとても内気ですから、人付き合いを好まれないのです」 to 不定詞の to と動詞の間に副詞や副詞句が入る形。ヴィクトリア女王時代は誤りとされたが...
-
ウィリアム・スローン(William Sloane)は1906年に生まれ、74年に亡くなるまで編集者として活躍したが、実は30年代に二冊だけ小説も書いている。これが非常に出来のよい作品で、なぜ日本語の訳が出ていないのか、不思議なくらいである。 一冊は37年に出た「夜を歩いて」...
-
アリソン・フラッドがガーディアン紙に「古本 文学的剽窃という薄暗い世界」というタイトルで記事を出していた。 最近ガーディアン紙上で盗作問題が連続して取り上げられたので、それをまとめたような内容になっている。それを読んで思ったことを書きつけておく。 わたしは学術論文でもないかぎり、...
-
「ミセス・バルフェイムは殺人の決心をした」という一文で本作ははじまる。 ミセス・バルフェイムは当時で云う「新しい女」の一人である。家に閉じこもる古いタイプの女性ではなく、男性顔負けの知的な会話もすれば、地域の社交をリードしもする。 彼女の良人デイブは考え方がやや古い政治家...