Friday, November 15, 2019

マージェリー・ローレンス「暗闇の花嫁」(1967)

ローレンスは1889年英国のウルバーハンプトンに生まれ、1969年に亡くなった。スピリチュアリズムやオカルト関連の作品を多数残している。「暗闇の花嫁」は魔女を扱った小説だ。裕福な骨董商の息子がイタリア人の美女と結婚してみたら魔女だったという話である。この魔女は魔術を使って人を殺し、貪欲に金儲けをしようとする。骨董商の息子もいい金づるだから結婚したのである。そして彼の父親も生まれたばかりの息子も彼女に命を狙われる。

一応彼女は魔女と称されているが、なんだか吸血鬼のようなところもある。彼女は自分が産んだ子供から生命力を吸い取るらしいのだ。この特徴はフローレンス・マリアットの「吸血鬼の血」とよく似ている。ハリエット・ブラントは吸血鬼だが、血を吸うのではなく、そばにいる人々から生気を吸い取り、その結果まわりの人が病気になり死んでいくのである。

読んでいて、吸血鬼の特徴と金への欲望の結びつきが、わたしは気になった。「暗闇の花嫁」でも「吸血鬼の血」でも、魔女あるいは吸血鬼とされる女性は強欲資本主義と強い結びつきを持っている。ヴィクトリア朝に入ってイギリスでは本格的な資本主義、容赦のない搾取が開始されたが、そのような強欲さが過去の亡霊(魔女、吸血鬼)、しかも外国から来た亡霊(本作の魔女はイタリア人、ハリエットはジャマイカで生まれた)によって表現されているようなのだ。

しかし本格的な資本主義がはじまったのはイギリスの帝国主義の進展の結果であって、外国の影響ではない。つまり魔女や吸血鬼で表されている悪は、イギリスの外からやってきたように描かれているけれど、本質的にはその悪は内的なものであるはずだ。

マージェリー・ローレンスのほかの作品を探したが、Internet Archive には「暗闇の花嫁」しかないようだ。Hathi Trust のサイトには「七つの月のマドンナ」という作品がある。ロマンスだろうか。彼女の文章の平明さが気に入ったので、読んでみようと思う。

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