ヴィーレックはずっと昔、「ヴァンパイアの館」(The House of the Vampire)という割と短い小説を読んだことがある。ヴァンパイアといっても血を吸うのではなく、生気を吸い取るやつだ。話の内容はあまり覚えていないが、芸術家が主人公で最後にその存在が「溶かされて」しまう。その場面だけは印象的で今でも覚えている。
ヴィーレックのそのほかの小説は、その当時、入手が困難で、読めなかったのだが、最近 Internet Archive を調べたら My First Two Thousand Years と The Invincible Adam の二冊がアップロードされているのに気づいた。これは彼が書いた三部作のうちの二冊である。もう一冊 Salome という本があるのだが、残念ながらこれは Internet Archive にはないようだ。しかし日本の大学にはこの本を所蔵しているところがあるかもしれない。ちょっと調べてみて借りられるようなら今年の年末はヴィーレックに読みふけろうかと思っている。
ヴィーレックは内分泌学に関する大衆向けの解説書を書いて、フロイトに注目され、精神分析について同様の本を書かないかと持ちかけられた男である。よく調べてないのでわからないが、確か精神分析の本は書いていないと思う。しかし彼の小説は精神分析の影響を受けていて、その意味でわたしは彼に興味がある。ヴァンパイア小説を書いたり内分泌学の本を書いたりナチスの支持者になったり世界中の有名人をインタビューして回ったり、じつにおもしろい人生を送った人だが、今ではなぜかすっかり忘れ去られている。
独逸語大講座(20)
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