ヴィーレックはずっと昔、「ヴァンパイアの館」(The House of the Vampire)という割と短い小説を読んだことがある。ヴァンパイアといっても血を吸うのではなく、生気を吸い取るやつだ。話の内容はあまり覚えていないが、芸術家が主人公で最後にその存在が「溶かされて」しまう。その場面だけは印象的で今でも覚えている。
ヴィーレックのそのほかの小説は、その当時、入手が困難で、読めなかったのだが、最近 Internet Archive を調べたら My First Two Thousand Years と The Invincible Adam の二冊がアップロードされているのに気づいた。これは彼が書いた三部作のうちの二冊である。もう一冊 Salome という本があるのだが、残念ながらこれは Internet Archive にはないようだ。しかし日本の大学にはこの本を所蔵しているところがあるかもしれない。ちょっと調べてみて借りられるようなら今年の年末はヴィーレックに読みふけろうかと思っている。
ヴィーレックは内分泌学に関する大衆向けの解説書を書いて、フロイトに注目され、精神分析について同様の本を書かないかと持ちかけられた男である。よく調べてないのでわからないが、確か精神分析の本は書いていないと思う。しかし彼の小説は精神分析の影響を受けていて、その意味でわたしは彼に興味がある。ヴァンパイア小説を書いたり内分泌学の本を書いたりナチスの支持者になったり世界中の有名人をインタビューして回ったり、じつにおもしろい人生を送った人だが、今ではなぜかすっかり忘れ去られている。
アリス・ジョリー「マッチ箱の少女」
この本はまだ読んでいない。ただ数日前に作者がガーディアン紙に新作「マッチ箱の少女」に関する一文を寄稿していて、それが面白かったのでさっそく注文した。寄稿された記事のタイトルは「自閉症に関する彼の研究は思いやりに溢れていた――ハンス・アスペルガーはいかにしてナチスに協力したか」( ...
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ウィリアム・スローン(William Sloane)は1906年に生まれ、74年に亡くなるまで編集者として活躍したが、実は30年代に二冊だけ小説も書いている。これが非常に出来のよい作品で、なぜ日本語の訳が出ていないのか、不思議なくらいである。 一冊は37年に出た「夜を歩いて」...
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アリソン・フラッドがガーディアン紙に「古本 文学的剽窃という薄暗い世界」というタイトルで記事を出していた。 最近ガーディアン紙上で盗作問題が連続して取り上げられたので、それをまとめたような内容になっている。それを読んで思ったことを書きつけておく。 わたしは学術論文でもないかぎり、...
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§9. 不定の意を強める irgend 「何か」(etwas, was)といえばよいところを、特に念を入れて「何でもよいからとにかく何か」といいたい時には irgend etwas, irgend was といいます。その他不定詞(ein, jemand,...