Monday, December 30, 2019

パブリック・ドメインのにぎわい

わたしがよく閲覧するサイトはもちろん電子化された書籍が手に入る場所である。プロジェクト・グーテンバーグ(これにはヨーロッパ、カナダ、オーストラリアなどの「支部」がある)、FadePage、ManyBooks、Hathi Trust、Internet Archive などだ。ほかにも書評を書くという条件付きで新刊書が読めるサイト、なんの条件もつけずに新刊書を無料配布する出版社のサイトなどもあって、これらをめぐっていると読む本には事欠かない。

パブリックドメイン入りした本を扱っているサイトにあるのは古くて詰まらない本ばかりではないのか、と思い込んでいる人もあるかもしれないが、そんなことはない。

プロジェクト・グーテンバーグ・カナダを見ると、最近はオラフ・ステープルドンの「オッド・ジョン」や「シリウス」といったSFの名作が並んでいる。今でも人気があるし、SFが好きな人にとっては必読とさえいえる小説である。

FadePage を見ると、ジェイムズ・ヒルトンの「So Well Remembered」(日本語訳はまだないはず)やオルダス・ハックスレイの「島」、イアン・フレミングの「オクトパシー」が並んでいる。いずれも秀作で、読んで損はない。(フレミングはわたしの愛読作家。映画のイメージとは違って文章は格調高い)

本家のプロジェクト・グーテンバーグは書籍を電子化する工場と化していて、娯楽書から専門書にいたるまであらゆる書籍がずらりと勢揃いしているが、今ちらりと「新刊」のリストを見ると、バジル・ウーンという人の「私が知るサラ・ベルナール」なんて本が出ているようだ。フランスの大女優や、ベル・エポックに興味のある人ならつい覗きたくなる本だろう。またスエーデンの作家シーグフリート・シーヴェルツの代表作 Selambs(英訳タイトルは Downstream)もある。これは第一次世界大戦と資本主義をテーマにした本として有名で、いま戦争文学を読んでいるわたしはいつか読もうと目をつけていた本だ。

Internet Archive となると、その蔵書は二百万冊を越える。重複するものも多数あるが、とにかくその増え方は尋常ではない。日本語の本も、近代デジタルライブラリの本よりきれいで読みやすい。わたしは芥川の全集を Internet Archive からダウンロードして愛読している。

こんな具合にフィクション、ノン・フィクションにかかわらず、興味深い本がほとんど常時あたらしく提示されている。読むのが追いつかず、本が溜まっていくというのが現実である。本好きにはたまらない時代になったと思う。

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