Sunday, January 12, 2020

グーテンバーグ・カナダ

カナダは著作権切れの期限が五十年と日本と同じなので、ここと fadepage.com から出る本は本家のグーテンバーグUSより新しいものが多い。たとえばカナダから一月の一日に出た作品はルイス・ゴールディングの Honey for the Ghost。ゴールディングは最近「ミスタ・エマニュエル」という本をこのブログでレビューした作家だ。彼はSFっぽい作品や本作のようなホラー風味の作品も書いている。どの本も手に入りにくいので、こうやって電子化してもらえるとありがたい。

Fadepage.com は今年に入って面白いコラム記事を載せている。百年前の1920年代に出た、著名な書籍を十点あげているのだ。もちろんいずれも Fadepage.com で手に入る。

The Age of Innocence (1920) by Edith Wharton
The Story of the Mikado (1921) by W. S. Gilbert
Nonsense Novels (1922) by Stephen Leacock
Emily of New Moon (1923) by L. M. Montgomery
The Adventures of Sam Spade and Other Stories (1924) by Dashiell Hammett
The Witches Brew (1925) by E. J. Pratt
The Great Gatsby (1926) by F. Scott Fitzgerald
To the Lighthouse (1927) by Virginia Woolf
Decline and Fall (1928) by Evelyn Waugh
The Sound and the Fury (1929) by William Faulkner

わたしは1850年代から1950年代の本をよく読む。この時期は小説形式が完成され、それが古い形式として否定されるという、波乱に富んだ期間だった。二十年代というのはその転換点にあたる十年だ。ウルフの「灯台へ」とかフォークナーの「怒りと響き」のような実験的な作品がリストにも含まれているが、これらは小説の新たな胎動を示すメルクマールである。

ウオートンの「無垢の時代」やフィッツジェラルドの「グレイト・ギャツビー」は、一応古い小説の形式を取っているが、それぞれに独特のひねりや新鮮な感性が加わっていて、今読んでも面白い。

ギルバートの「ミカド物語」はもちろん有名なオペレッタからの翻案作品だ。ギルバートの作品はどれもユーモラスでわたしは好きだ。訳したいけれども、あのしゃれやユーモア、そして音楽性豊かな言語を日本語に移植することを考えると、二の足を踏む。

リーコックはユーモラスな短編小説をたくさん書いているが、中でも Nonsense Novels はミステリファンには見逃せない。ウォーの「衰退と滅亡」もユーモア小説だが、リーコックの明るい健康的なユーモアに比べると、ちょっと諧謔味、あるいはグロテスクな味わいが加わっている。

ハメットの短編集は見逃せない。わたしはハードボイルドではチャンドラーが嫌いで、ハメットとロス・マクドナルドを好む。とりわけハメットの、新しいジャンルをつくりだす荒々しい所作には惹かれるものがある。

十作だけのリストだが、ちょうど百年前、新旧の文学が混じり合っていた時期を回顧するには、非常にいい作品ばかりが集められているように思う。

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