己來也という忍術をよくする怪盗と、面師でこれまた忍術を使う下衛門との忍術合戦が主眼となる大衆小説だが、ほとんど息を継ぐ間もないほど次から次へと事件が起きる。語りは講談口調で(いや、あれよりももうちょいと洗練されている)、人の憂いや悲しみといった側面にはいっさい触れない。徹底してわくわく、どきどきし、楽しんでもらおうという書き方。これは日本のペニードレッドフルだと思う。久しぶりに十九世紀のおどろおどろしい小説でも読んでみようか。
Friday, February 21, 2020
白井喬二 「忍術己來也」
以前、今日出海の「山中放浪」を読んでいたら、台湾の日本語新聞に白井喬二の小説が連載されていたという記述があった。それで急に白井喬二が読みたくなって、国立国会図書館デジタルコレクションを調べたら上記の本があったので pdf 版をダウンロードしてみた。いやはや、予想以上の面白さ。白井喬二のストーリーテリングのうまさには舌を巻いた。
己來也という忍術をよくする怪盗と、面師でこれまた忍術を使う下衛門との忍術合戦が主眼となる大衆小説だが、ほとんど息を継ぐ間もないほど次から次へと事件が起きる。語りは講談口調で(いや、あれよりももうちょいと洗練されている)、人の憂いや悲しみといった側面にはいっさい触れない。徹底してわくわく、どきどきし、楽しんでもらおうという書き方。これは日本のペニードレッドフルだと思う。久しぶりに十九世紀のおどろおどろしい小説でも読んでみようか。
己來也という忍術をよくする怪盗と、面師でこれまた忍術を使う下衛門との忍術合戦が主眼となる大衆小説だが、ほとんど息を継ぐ間もないほど次から次へと事件が起きる。語りは講談口調で(いや、あれよりももうちょいと洗練されている)、人の憂いや悲しみといった側面にはいっさい触れない。徹底してわくわく、どきどきし、楽しんでもらおうという書き方。これは日本のペニードレッドフルだと思う。久しぶりに十九世紀のおどろおどろしい小説でも読んでみようか。
エドワード・アタイヤ「残酷な火」
エドワード・アタイヤ(1903-1964)はレバノンに生まれ、オクスフォード大学に学び、スコットランド人の女性と結婚した作家である。自伝や「アラブ人」という評論が有名だが、ミステリも何冊か書いている。ウィキペディアの書誌を見る限り「残酷な火」(61)は彼が書いた最後のミステリ...

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63. I don't know but (that /what) 基本表現と解説 I don't know but that he did it. 前項の Who knows の代わりに I don't know とか I cannot say ...