Thursday, February 27, 2020

ロン・ハバート

アメリカにいたころ見知らぬ人からロン・ハバートの「ダイアネティックス」を読むよう勧められたことが何度かある。彼らはロン・ハバートの熱心な教徒なのだろう。おれはこれを読んで人生が変わった、ぜひ、お前も読んでくれ。上海では身だしなみのいい若い女性からよくアムウェイに入れと勧められ、この違いはなんなのだろうと考え込んでしまった。

でもそんなことはどうでもいい。わたしはダイアネティックスには興味はないが、ロン・ハバートの小説は面白いと思っている。パルプ小説的熱量をあれだけ放出している作家はめずらしい。SF好きで彼に興味があるなら Battlefield Earth あたりを手に取ってみてほしい。長大な小説だけれど、ついつい最後まで読んでしまう。

今日、プロジェクト・グーテンバーグの新刊(?)一覧を見たら、なんとハバートの Strain という短編が出ていた。「アスタウンディング・サイエンス・フィクション」1942年4月号に出ていた作品だ。こういう雑誌に掲載された短編は、著者が著作権の更新をせず、パブリックドメイン入りしていることがある。PGはそれをしっかり調べた上でデジタル化しているのだ。(調べないと、とんでもない著作権違反金をふんだくられる)ハバートの作品がPGに収録されるのはこれがはじめてのようだから、うれしいニュースである。もしも日本で彼の作品が著作権切れになったら、わたしはまっさきに Mission Earth を訳すだろう。SFの分野ではディックと並んで彼の作品が面白いと思っている。

エドワード・アタイヤ「残酷な火」

  エドワード・アタイヤ(1903-1964)はレバノンに生まれ、オクスフォード大学に学び、スコットランド人の女性と結婚した作家である。自伝や「アラブ人」という評論が有名だが、ミステリも何冊か書いている。ウィキペディアの書誌を見る限り「残酷な火」(61)は彼が書いた最後のミステリ...