全日本プロレスが新年早々に見せたさまざまなドラマのタネがどう発展するか。今月十一日に行われる後楽園ホールでの興業で、ドラマの最初の一区切りがつけられることになるだろう。その直前の試合、二月六日の新木場大会は、新ユニット「陣」がプロデュースする、エンターテイメント性の強い興業だったが、無料放送された最初の二試合は、意外なくらい面白かった。
第一試合、大森北斗・ライジングHAYATO 対 田村・花見戦は、熱のこもった好試合だった。田村は投げ技もエルボーも迫力を増し、着実に成長しているという印象を与えた。この調子でつづけていけば、どこかで爆発的に伸びるのではないか。わたしは田村に大きな期待をかけている。大森はすでに自分のスタイルを確立しつつあるように思う。若手の中では群を抜いているが、ジュニアの上位と比べると、まだ技の重さや魅せ方に差があるようだ。早くトップ戦線に食い込めるよう、精進して欲しい。
この試合でいちばん存在感を出していたのは、しかしながら、花見だった。とにかく相手チームにつっかかり、試合が終わっても、まだまだエネルギーが鬱積しているように大森に向かっていった。こんなふうに場の雰囲気とか、先輩後輩の序列を無視してがむしゃらに突貫する選手、傍若無人な選手は全日本にはいない。良くも悪くも全日本の若手はお行儀がよい。それゆえわたしは花見がこれからも全日本に登場し、若手に刺激を与えることを望む。
この試合は観客の声援も鋭く飛び交い、第一試合としては出色の出来だったと思う。
第二試合の宮原対小仲は、宮原が小仲の独特なペインティングを真似して登場するという、爆笑もののはじまりかたをした。白塗りのペインティングをほどこした両者が並ぶと、八十年代、九十年代の前衛演劇を見ているようで、観客から「気味が悪い」とか「今日来てよかった」などというつぶやきがしきりに漏れた。組み合って戦うことはまったく無かったが、いずれの選手も観客へのサービス精神たっぷりで、これはこれで楽しめる内容になった。第一試合との対照が際出つ、これまた出色の試合だった。
この興業では青柳が今練習中のスピンキックで UTAMARO に勝利したようだ。頼もしい。十一日の後楽園大会では三冠チャンピオンの宮原に挑戦することになっているが、青柳のキックが宮原の膝攻撃にどれだけ対抗できるか、大いに見物である。
エドワード・アタイヤ「残酷な火」
エドワード・アタイヤ(1903-1964)はレバノンに生まれ、オクスフォード大学に学び、スコットランド人の女性と結婚した作家である。自伝や「アラブ人」という評論が有名だが、ミステリも何冊か書いている。ウィキペディアの書誌を見る限り「残酷な火」(61)は彼が書いた最後のミステリ...

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