Tuesday, February 4, 2020

基準独文和訳法

権田保之助著
有朋堂発行
「基準独文和訳法」より

問題1(p.41)

Ich denke an ein Wort Goethes: daß ein Mann mit Ideen, der geistig schaffen will, nicht in einem Zimmer wohnen dürfe, das mit prächtigen Gegenständen vollgestellt sei, weil er dadurch abgelenkt werde.

研究事項
1)ein Mann Ideen の訳、殊に Idee の訳語は?
2)geistig schaffen とは何の意か?
3)an etw (4) denken の句と、mit etw vollgestellt sein の句とに注意。
4)最後の文にある dadurch は何を指すか?
5)...wohnen dürfe, ...vollgestellt sei, ...abgelenkt werde という接続法は何の為に使用されているか?

解釈要項
1)Idee は Idea(イデア)で、「観念」「理念」と訳す。故に ein Mann mit Ideen は「観念の人」「イデアを有する人」と訳す。然るに Idee を「思想」とか「意志」とかと解し、又は Ideal と混同して「理想」と解したる為め、或は「思想家」とか「理想ある人」とかと訳すことは誤である。
2)schaffen は「創造する」であって、其の創造が精神的の方面で行はるることを geistig schaffen と称す。「精神的に創造する」の義。
3)an etw (4) denken,「或物のことを思ふ」。――mit etw vollgestellt sein,「或物で飾り立てられてゐる」。
4)dadurch は上に記した事柄の„in einem Zimmer wohnen dürfe, das mit prächtigen Gegenständen vollgestellt sei“ を全部受けてゐる。其の一部丈けしか受けさせぬと、誤読となる。
5)daß 文章に接続法が使用されてゐるのは、Goethe の言葉を間接に表はさんとする間接説話法の為めである。

訳文
精神的に創造せんとする観念の人は、綺羅美やけき品物もて飾り立てられし部屋に住むことは、その為めに心擾さるゝが故に、其処に住み得ざるものであるといふ、ゲーテの言葉を憶ふ。

英語読解のヒント(145)

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