わたしがよく読むニュースサイトはBBCとガーディアン。シュピーゲルもときどき読む。(わたしはメルケル首相のファンなのだ)
BBCはニュースも見られるし、ラジオドラマやドキュメンタリーも聞けるとあって、すばらしいの一言。コロナ関連のニュースも充実している。このところ毎日見ているのは Live Reporting で、世界から発信されるニュースが時々刻々と表示される。たとえば三月二十四日にはフィリピンの保健省が、コロナウイルスの患者数を501、死者数を33と発表したが、韓国と比較すると検査数があまりにも少ないため、患者数はこれよりもはるかに多いはずだと専門家が警告しているという。日本も検査数が少なすぎるため、発表されている患者数は信用できないということだろう。しかしフィリピンは海外からの検査キット寄付を受け、一日千人の検査ができるようになるらしい。彼らは実際に検査をやるだろうし、そうすれば東南アジアにおける感染具合がより正確にわかる。対策を考える際の貴重な資料になる。とにかく、BBCニュースにはこんな具合に世界中から五分か十分おきに新しいニュースが入ってきて、すこしもあきないし、貴重な情報源だ。
ガーディアンにもコロナ関連ニュースのライブ報道がある。こちらもかなりの頻度で記事が更新され、世界中のおもだったニュースに眼を通すことができる。たまたまこちらにもフィリピンのニュースが出ていたので紹介すると、フィリピンのゲリラたちが、国連の呼びかけに応じてその活動を「ロックダウン」するらしい。「今は武力衝突をロックダウンし、われわれの生命にかかわる真の戦いにともに照準を合わせるべきときである」とゲリラは声明を出したそうだ。じつはこの認識はわたしが訳した「闇の深みへ」の認識と重なるところがある。人間同士の闘争は、狂った自然の闘争から派生したものでしかない。だから第一章ではアダムたちの軍隊と敵との戦いは、自然が繰り広げる闘争という「大本」に「回収されて」しまうのである。しかしこのことはいずれブログでゆっくり話をしようと思う。
海外メディアのよいところは、なんといっても、日本を外部の視点から見ることができるという点だ。政治家の言動や政策を比較して客観的に評価を下せる。
Tuesday, March 24, 2020
ジョン・ラッセル・ファーン「栄光の輝きに照らされて」
原題は Reflected Glory。他人がつかんだ栄光だけれども、その人と関係のある人が、まるで自分の栄光であるかのように感じる、という意味だ。「親の七光り」という日本語が示す事態と、よく似ていると云っていい。 女流作家のエルザは、ふとしたきっかけから画家のクライブと知り...
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アリソン・フラッドがガーディアン紙に「古本 文学的剽窃という薄暗い世界」というタイトルで記事を出していた。 最近ガーディアン紙上で盗作問題が連続して取り上げられたので、それをまとめたような内容になっている。それを読んで思ったことを書きつけておく。 わたしは学術論文でもないかぎり、...
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ウィリアム・スローン(William Sloane)は1906年に生まれ、74年に亡くなるまで編集者として活躍したが、実は30年代に二冊だけ小説も書いている。これが非常に出来のよい作品で、なぜ日本語の訳が出ていないのか、不思議なくらいである。 一冊は37年に出た「夜を歩いて」...
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アニー・ヘインズは1865年に生まれ、十冊ほどミステリを書き残して1929年に亡くなった。本作は1928年に発表されたもの。彼女はファーニヴァル警部のシリーズとストッダード警部のシリーズを書いているが、本作は後者の第一作にあたる。 筋は非常に単純だ。バスティドという医者が書斎で銃...