コロナウイルスのせいで図書館が閉鎖され、イギリスでは本屋さんも店を閉めているようですね。こんな時期なので少しでも人の気晴らしになればと思い、翻訳を完了したばかりの「闇の深みへ」を、これから一週間、無料配布します。下のリンクをクリックすればepubファイルがダウンロードされるので、ご自由にお読みください。無料配布期間(三月三十一日まで)が過ぎたらアマゾンから販売する予定です。
闇の深みへ.epub
「闇の深みへ」はルネ・フュレップ=ミラーという人が書いた反戦小説です。第一次世界大戦なのか、第二次世界大戦なのか、よくわかりませんが、とにかく大規模な戦争が起き、三一七高地という架空の場所で兵士たちが生死の境をさまよう話です。滑稽でありながら残酷、シュールでありながら現実的という、一風変わった作品です。
反戦小説といえば、ベルタ・フォン ズットナーの「武器を捨てよ! 上下」(新日本出版社)も名作ですよ。なにしろわたしも訳者の一人として参加した作品ですから(笑)。
健康に気をつけていっしょに試練を切り抜けましょう。
デイ・キーン「疑惑の種」
キーンは1969年に65歳くらいで亡くなっている。本書が書かれたのが1961年だから、晩年の作といっていいだろう。キーンの作品は前期や中期に書かれたミステリがおもに注目されるので、後期はどうなのだろうと興味をもって読んだ。 正直、悪くないという印象だ。 本書は人工授精をめぐる...
-
19世紀の世紀末にあらわれた魅力的な小説の一つに「エティドルパ」がある。これは神秘学とSFを混ぜ合わせたような作品、あるいは日本で言う「伝奇小説」的な味わいを持つ、一風変わった作品である。この手の本が好きな人なら読書に没頭してしまうだろう。國枝史郎のような白熱した想像力が物語を支...
-
パット・フランクのこの小説は日本ではなぜか翻訳が出ていないが、デイヴィッド・プリングルがSF小説百選のリストにも入れた名作である。 まず時代は1959年。場所はフロリダのフォート・リポーズという小さな町だ。主な登場人物は、フォート・リポーズに住むランディ・ブラグという三十代の男と...
-
昨年アマゾンから出版したチャールズ・ペリー作「溺れゆく若い男の肖像」とロバート・レスリー・ベレム作「ブルーマーダー」の販売を停止します。理由は著作権保護期間に対するわたしの勘違いで、いずれの作品もまだ日本ではパブリックドメイン入りをしていませんでした。自分の迂闊さを反省し、読者の...