ここ二か月ほどずいぶん熱心にBBCやガーディアンを読んできたが、各国政府の能力が如実にあらわれた期間だったと思う。国家的な危機への対応という、政府にもっとも求められる能力をためす、絶好の機会をコロナウイルスは提供してくれた。
ニュージーランドはそのなかで輝かしい成果をあげた国家の一つである。まことに小さな国でありながら、傍目にも驚嘆すべき政府の危機管理能力だった。
いったい彼らのどこがよかったのか。BBCの記事が簡潔にまとめていた。(https://www.bbc.com/news/world-asia-52450978)それによると成功の秘訣は
(1)早期の国境閉鎖
(2)素早い、断固としたロックダウン
(3)感染源の追跡と検査
(4)ソーシャル・バブルの選択と自粛
(5)わかりやすいパブリック・メッセージ
なのだそうだ。
(1)について言えば、ニュージーランドが旅行者に世界的にも厳しい制限を発令したのは三月十九日である。アーダーン首相は「我が国には百二名の患者しかいない。しかしイタリアもそうだった」と言って断固国境を閉ざした。
(2)三月二十一日にニュージーランドは新しい警戒システムを発表し、ほどなくして全国が警戒レベル四の最高レベル体制が敷かれた。会社、学校、海岸や遊技場、バーやレストラン、持ち帰りや出前なども禁止された。
(3)ニュージーランドはいわゆるクラスター対策をしつつ、一日に八千人の検査も行った。さらにシンガポールやオーストラリアで使われているような追跡アプレットも導入した。
(4)ニュージーランドはただ国民に自宅にひきこもれと言ったのではない。親しいごく少数の人々を選んで、ソーシャル・バブルをつくり、そのなかでのつきあいは認めた。それがルールを守りやすくしたのである。もちろん二メートルの社会的距離を置くことは求められた。
(5)アーダーン首相はつねに良識的な情報を落ち着いた態度で、しかし断固として国民に発した。彼女の演説・対話はいずれも圧巻であり、感動的ですらあったと思う。
こうやって項目的に列挙してみると、どの点においても日本政府のやり方はグダグダであったことがわかる。しかしこういう政府をつくりあげたのはわれわれ国民自身であって、人々は民度にふさわしいリーダーしか持てないのかもしれない。
Tuesday, April 28, 2020
関口存男「新ドイツ語大講座 下」(4)
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