Tuesday, May 26, 2020

基準独文和訳法

権田保之助著
有朋堂発行
「基準独文和訳法」より

問題8(p. 47)

Trotz ihrer stolzen Grüße bedeutet die moderne Stadt nichts für sich selber; sie will nicht herrschen, nicht ausbeuten; als dienendes Glied staatlich geordneten Volkes bricht sie die Bahn einer aufwärtsstrebenden, wahrhaft sozialen Kulturentwicklung für die Gesamtheit.

研究事項
1)die moderne Stadt の訳語に就いては、問題5の die moderne Zeitung のそれを参考すべきである。
2)ausbeuten と、dienendes Glied staatlich geordeneten Volkes と、die Gesamtheit との夫々の訳は?
3)für sich selber の句は如何に解すべきか?
4)die Bahn brechen といふ成句が使用されてゐる。その訳は如何にすべきか?

解釈要項
1)die moderne Stadt は「近代都市」「近世都市」。
2)ausbeuten は「利用し盡す」なぞ訳してはいけない。それは「搾取する」「掠奪する」と訳すべきもの。dienendes Glied staatlich geordeneten Volkes は国家的に統制されゐる国民の承役的部分」。
3)für sich selber は「それ自身に対しては」である。単に「それ自身丈けでは」「それ自身に於て」と訳したのでは誤である。
4)die Bahn brechen は「道を拓く」の意味である。この熟語に気が付かずして、「道程を破る」なぞとしては飛んでもないことになる。

訳文
近代都市はその誇らしげな広さを有しゐるにも拘らず、それ自身に対しては何等意義を有せざるものである。それは他を支配せんともせず、他を搾取せんともしない。それは国家的に統制せられてゐる国民の承役的部分として、統体の為めに、向上的にして真に社会的な文化展開の道程を拓くものである。

英語読解のヒント(145)

145. 付帯状況の with 基本表現と解説 He was sitting, book in hand, at an open window. 「彼は本を手にして開いた窓際に座っていた」 book in hand は with a book in his hand の...