驚くべきことだが、痛みはアリストテレス以来、哲学者を困惑させてきた。痛みは感情 emotion なのか、感覚 sensation なのか、知覚 perception なのか。
精神分析の領域では痛みはもっと不可解なものとなる。医学的にはなんら痛みの原因となるものが存在しないのに、患者は痛みを感じる場合があるのだから。片足を切断した人でも、湿度の高い日は膝に痛みを感じるなんて話しを聞いたことはないだろうか。その人に膝はもうないというのに。
しかしそんな哲学的な話しはどうでもいい。わたしは筋トレをしているせいか、腰が痛い人とか肩が痛い人からどんなトレーニングをすればいいのかと聞かれることがある。そんなときは医者に聞けと答えることにしている。痛みなんてなにが原因で生じているのかわかったものではない。素人に聞かれても困るというのがわたしの本音だ。
しかし単純に筋肉が弱って痛みが出ているなら、いくらでも鍛えて痛みを減らすことが出来る。筋肉はちゃんと栄養を取り、訓練すれば、何歳になっても成長するのだ。腰が痛い人がデッドリフトをやってずいぶん状態がよくなったというケースをわたしは知っている。ただし腰痛を改善するためならやたらと重いものを持ち上げる必要はない。商品の入った買い物袋を両手で持ち、軽く腰を曲げた状態から、上体をぐっと後ろにそらす程度の、軽い運動を繰り返すだけで十分だ。それを毎日繰り返せば、靴紐を結んだあと腰がふらついたりしなくなるし、寝そべって頬杖をつきながら本を読むこともできるようになる。(この姿勢は意外と腰の筋肉に負担がかかる)
肩の痛みや肩こりも、筋肉が弱ったり柔軟性を失ってしまって生じている場合が多い。ジムに行ってラットプルダウンをやるのもいいけど、じつは腕を回したり、首を回したり、背中の筋肉を意識して緊張させるだけでも、かなりの効果がある。ペットボトルなどを持って腕を回せば、さらに負荷を大きくすることが出来る。ムキムキになろうとするのでもないかぎり、高い金を払ってジムに行かなくても、自宅で筋肉をつけ、身体を若返らせることができるのだ。
Friday, June 26, 2020
関口存男「新ドイツ語大講座 下」(16)
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