権田保之助著
有朋堂発行
「基準独文和訳法」より
問題11(p. 50)
Die Masse trägt in sich den Willen zu einer neuen Bildung, von der keiner weiß, wie sie aussieht, von der jeder ahnt, daß sie anders ist als die bürgerliche Bildung. Die bürgerliche Bildung ist individualistisch, aller Individualismus widerspricht dem Begriff der Masse, -- sie ist überindividualistisch.
研究事項
1)die Masse -- eine neue Bildung -- die bürgerliche Bildung の訳は?
2)individualistisch と überindividualistisch との訳語は?
3)etw in sich tragen の熟語の意味は?
4)最後の sie ist überindividualistisch の sie は何を指すか?
5)第一文の zu einer neuen Bildung, von der...以下の構文を分解すれば如何?
解釈要項
1)die Masse は「大衆」。(das Maß の「尺度」「度合い」と混同し易い。注意を要す)。
eine neue Bildung は「一つの新しき教化」
die bürgerliche Bildung は「ブルヂョア的教化」(bürgerlich に就いては問題2参照)
2)individualistisch は「個人主義的」(「個人的」は individuell)であり、überindividualistisch は「超個人主義的」。
3)etw in sich tragen は「己の中に蔵する」「抱懐する」。
4)sie は直ぐ前の Masse を指す。
5)第一文を分解すれば:...zu einer neuen Bildung, 〔von der keiner weiß, (wie sie aussieht)〕, 〔von der jeder ahnt, (daß sie anders ist als die bürgerliche Bildung)〕. で、二つの〔 〕が Bildung の Attributivsatz であり、keiner weiß と jeder ahnt とが対句をなしてゐる。
訳文
大衆は一つの新しき教化への意志を抱懐す。その教化に就きては、それが如何なる外貌を有するかを知る者一人もなくして、しかも夫れがブルジョア的教化と相異るものなるは何人も予感する所である。蓋しブルヂョア的教化は個人主義的であり、一切の個人主義は大衆てふ概念に背反しゐるものであつて、大衆は超個人主義的なるものなるが故である。
Monday, July 6, 2020
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