Saturday, November 7, 2020

世界の中の日本の地位

今日のBBCのサイトに「バイデン氏の勝利が世界にとって何を意味するか」という記事が出ていた。トランプ政権とはやり方が百八十度異なるであろう大統領が誕生したのだから、今後のアメリカの外交には注目が集まって当然だ。

この記事ではまずアメリカと中国の関係が短く論じられている。中国はバイデン氏の勝利に密かにがっかりしているという観測があるらしい。トランプは自国を分断し、外国に対しては孤立主義をもって対応していたから、アメリカの文化も影響力も衰退していっていた。中国はアメリカを抜き去る絶好の機会を与えてくれていると見なしていたのである。

バイデンは気象変動などの大きな問題については中国と良好な協力関係を結ぶだろう。しかし彼は同盟国との関係も修復するだろうから、それがうまくいけば中国の野心を押さえ込む国際関係ができるようになるかもしれない。

また今回の大統領選の開票過程では不手際が見られ世界がいらいらしたり苦笑を漏らしたが、しかしアメリカは民主主義のプロセスを守りきった。それは民主主義的ではない中国の政治体制へのアンチテーゼとして相変わらずそびえ立つだろう。

記事では次に「アメリカとインドの関係」、「韓国、北朝鮮との関係」、「イギリスとの関係」、「ロシアとの関係」、「ドイツとの関係」、「イランとの関係」、「イスラエルとの関係」、「エジプトとの関係」、「キューバとの関係」、「カナダとの関係」を論じている。日本との関係は議論されていない。

わたしが読む新聞はおもにガーディアン、多少はニューヨーク・タイムズとかワシントン・ポストも読む。それからドイツのシュピーゲル誌。しかしそれらをざっと見ても日本とアメリカの関係について触れている記事など一つもないようだ。

もともと日本というのは何をやっているのか、何を考えているのかわからない国とみなされているのだが、経済的にも文化的にも衰退の一途をたどるこの国家はいかなる意味に於いても世界のキープレヤーたる資格を失ったようだ。ニューヨーク・タイムズは報道拠点を東京からソウルに移したが、メディアに対して政府からおかしな圧力のかかる日本よりも韓国の方がはるかに言論の自由が保障されており、このような海外メディアの日本離れは今後加速するだろう。日本の国力が落ちた事実を如実に示す事例の一つである。それなのにいまだに「世界に冠たる日本」というイメージを持っている人が生存しているのだからあきれてしまう。そうした言説があらわれるのはいつも称揚される対象が力を失ったときなのだ。たとえば武士道が賞賛されたのは、武士が力を失い商人がのしてきた時期である。こういうことはイデオロギー論のイロハである。

日本では大統領選をずいぶん報じていたが、世界は日本の存在にさしたる関心を抱いているわけではない。しかもそのあるかないかわからないような関心は、これから更に縮小し、かぎりなくゼロに近づいていくだろう。


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