Tuesday, November 24, 2020

R.オースチン・フリーマン「一厘も残りなく」(1914)

ハンフリー・チャロナーは人間や動物の骸骨を収集し、自宅に博物館を作っている学者である。彼はある晩、強盗に押し入られ、妻を殺害される。警察は犯人を捕まえられなかったが、ハンフリーは犯人の指紋ときわめて特徴的な毛髪を証拠として取っていた。復讐に燃える彼は、わざと自宅に泥棒を呼び込み、彼らを殺害するようになる。そして指紋と毛髪が一致するか検査するのだ。もちろんそう簡単に妻を殺した男が捕まるわけがない。目的の男を見つけるまでに殺された泥棒たちは、みな人骨の標本として彼の博物館に保存されることになる。

本作はソーンダイク博士ものになじんでいる人には驚きの作品だろう。チャロナーの常軌を逸した復讐の念、泥棒たちにたいする極端な差別感情、遺体への偏執狂的興味、文体はたしかにフリーマンのものだが、内容はおそろしくグロテスクで読む者を動揺させる。フリーマンにこういう側面があったのかと、読みながらわたしは考え込んだが、逆にわたしが今まで知っていた科学的なフリーマンを異様な情熱の陰画として読み返すべきではないかという気がしてきた。

関口存男「新ドイツ語大講座 下」(4)

§4.  Solch ein kleines Kind weiß von gar nichts. そんな 小さな子供は何も知らない。  一般的に「さような」という際には solch- を用います(英語の such )が、その用法には二三の場合が区別されます。まず題文...