Sunday, January 3, 2021

図書館閉鎖論

知をないがしろにする態度は日本の政治家に限られたものではない。アメリカにもブラジルにも中国にもイギリスにも見られる。

イギリスではロックダウンの結果、図書館が閉鎖されつづけている。その状況を見て地方議会の保守系議員がこんなことを言ったそうだ。「過去四ヶ月か五ヶ月のあいだ使われなかったものなど、われわれにとって本当に必要ななのか」

イギリスでは新自由主義が世界を席巻するようになってから、図書館に対する予算が削減されたり、ボランティアの運営に任されるケースが増えているのだが、今回の政治家の発言はその流れに乗ったものといえるだろう。しかし図書館が閉鎖されていたのはロックダウンという政府の政策のためであって、必要性とは関係が無い。それどころか逆に閉鎖された故にコミュニティーの活動が減ってしまったと考えるべきである。それに知が広く国民に行き渡ることは、国力の強化につながる。十八世紀から十九世紀にかけてイギリスが異常な発展を遂げたのは、教育機会を拡充し、国民の知的レベルを向上させ、新たな時代に適応できる人材を育てたからである。それとは逆に日本はここ十数年、教育を軽視してきたため、人材不足が深刻化してきている。企業のイノベーション能力も、大学のレベルも落ちる一方だ。

歴史も現在の世界的状況も知らない連中が社会の方向性を決めているのかと思うとぞっとする。

関口存男「新ドイツ語大講座 下」(4)

§4.  Solch ein kleines Kind weiß von gar nichts. そんな 小さな子供は何も知らない。  一般的に「さような」という際には solch- を用います(英語の such )が、その用法には二三の場合が区別されます。まず題文...